不毛地帯
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Q.この作品は、昭和30年代、40年代が舞台ですが、篠井さんにとって「昭和」とはどういう時代でしたか?

間違いなくある時代の日本だし、それもそう遠くない時代…僕が東京に出てきてもう30年になりますけど、当時は電車も初乗りが60円とか80円とかで、切符を買って、改札でそれを切ってもらって乗って…。いまは、カードでピッ、ですもんね。電話だってもちろんまだ黒電話でしたよ。それが、いまや誰でも携帯電話を持っている時代になって…。僕にとっての携帯電話は『鉄腕アトム』の中の世界でしたからね。たった30年の間のこの変わりようは、凄いものだな、と思います。僕は電車で通っているんですけど、今日もりんかい線やゆりかもめに乗ったりしながら、そんなことを考えました。このドラマをやっているせいかもしれませんけど、最近、よくいろんなことを振り返っちゃうんですね(笑)。便利になったから、あの時代に戻りたいとは思わないですけど、ノスタルジックな気分にはなりますよね。僕は昭和33年生まれなので、このドラマはまさにそのころのお話でしょ。いま父が77歳なんですけど、彼らはそれよりももう少し上の世代になるのかな? 「ああ、こんな時代を男たちは過ごしたんだな…」という思いはありますね。ですから、大事に演じなければいけないな、と思いました。『三丁目の夕日』で昭和ブームみたいなものもありましたけど、ある意味、一番描かれにくい時代でもあると思うんです。庶民レベルというか、風俗レベルではあっても、こういう企業ものを映像として、それもテレビでやるというのは、なかなか勇気がいることでもあると思います。作り手の志がないとやれないと思うんです。僕も、ひとりの参加者としてその志に沿わねば、と思います。でも、そんなことを考えていると、また緊張してしまうんですけどね(笑)。

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