不毛地帯
- インタビュー -

Q.昭和という時代に関して、いま思うことは?

僕は若いころ、1年半サラリーマンやったけど、あんな社員、いまだったらひと月でクビですね(笑)。でも、一旦入れちゃったら、クビにできないんだよね(笑)。情が移ってね。親子2代、3代で勤めてる人もいるわけですよ。そこの社長と専務っていうのがやっぱり幼馴染で、ちょっとこの大門と里井に似てるんだよね。そのころは、食堂もあって、社長からヒラの社員まで全員同じものを食うんですよ。僕は本当にダメな社員で、もう遅刻はするわ、ズル休みはするわ…それでもクビにしないでね。こっちが「辞める」って言うまで待つ。まあ、それも良い部分と悪い部分があるんだろうけど。競争とか能力主義っていうのは、ちょっと寂しいですよ。六本木ヒルズの何十階にいて、夜景見るっていったって、夜景なんか3日も見れば飽きますよ、あんなもの(笑)。それより、ちゃんとした人間関係、瑞々しい関係があった方がいいと思うんですけどね。ウチの親父は職人だったんですけど、その後もちゃんと年金貰って、孫に小遣いやって。家一軒ってわけにはいかないけど…。大体、退職金で家一軒っていったってちょっと遅すぎるでしょ。30代、40代、子どもが生まれてこれから…っていうときに家、建てられなくちゃ。その代わり、もう退職金なんかいいんですよ。ちゃんと社会保障してくれたらいいんですよ。中間層の中の一番下でも、そんなに贅沢をしなきゃそこそこ食べられて、それなりの幸福感もあったのに…。そういうものも、みんなこのドラマの中にあるんだよね。いまに至るあらゆる要素が含まれている。いまの構造の一端に、もう踏み出している、っていうか…。オリンピック、オイルショック、それからバブル…馬鹿馬鹿しいくらいの大金を手にしたヤツ、友だちの友だちにいるんだよね。いまみんな、不幸のズンドコですよ(笑)。やっぱりダメですよ。自分で勝ち取ったものじゃないとね。

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