不毛地帯
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Q.大門一三は、豪快かつカリスマティックな魅力を持ち、まさに人の上に立つような人物である一方、大阪商人的なメンタリティーも持っているという、とても面白いキャラクターですね。

ちょっと理屈っぽくなるんですけど、大阪弁で物を考える、というのはやっぱり違うと思うんですね。同じ言葉でも、そこには大阪にまつわるいろんな歴史も入っているわけで…。そのことは、言葉の中のどっかに積み重なっている部分でもあるだろうと思うんです。そういう部分は、このドラマの中で表立って出なくても、こっちとしてはそういうものをできるだけ自分の体温の中に感じられるようにと思ってやっていたわけです。やっぱり、中央じゃない、周辺の人間のたくましさみたいなものがあるような気がするんですよね。昔は京があって、今度は江戸になっちゃって…というね(笑)。そういう周辺の人間のたくましさ。そこで、色んな意味で助け合っている。そういうものが、いろんな形で人間関係の中の熱量になっているんじゃないかと思うんです。そういうことを自分の中で感じつつ、演じようとしたんですけどね。今回は象徴として里井という男がいて、18話の最後に大門が、近畿商事に戻ってこないかと里井に言う場面があるんです。それは台本では料亭になっていたんですけど、平野(眞)監督が「これは居酒屋で行きましょう」と。いままでは料亭だったけど、テーブルに並んでいる懐石料理って、どうも合わないんだよね、最後までね(笑)。メインストリートを歩いてきたんじゃない、メインストリートから2、3歩入った横町、路地を歩いていきたふたりが、もう一度そこに立ち戻って、「こっから始まったんやなぁ…」「あそこや、あそこの店や!」みたいな感じで、二度づけ禁止のカツでも食いながら話す、みたいな(笑)。そのシーンは、会社の中のいろんな権力争いみたいなところから、もう少し離れてもいいかな、と思ったんですよね。これから先のことを考えるのも、あそこから考えなきゃいけないんじゃないか、っていう…。

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