interview #07
中村富美夫役 蟹江敬三さん

中村富美夫をどのような人物ととらえていますか?
あまり考えながら演じる方ではないんですが、イメージとしては"ザ・下町のおやじ"という感覚で演じています。口は悪いけど、根は優しさに満ち溢れている人だなと思います。

「中村産業」は、とてもアットホームな素敵な職場ですよね。
そうですね。経営は苦しいようですけど(笑)、いい職場だと思います。実際にも下町にはこういった工場はあると思いますよ。この作品の登場人物は、みんな"一生懸命に生きている普通の人"なんです。世の中、こうやって普通に一生懸命に生きている人がほとんど。今は、そういう人たちが幸せを感じられない、生きにくい世の中な気がするんです。だから、せめてこのドラマの中では、なんとか幸せになってもらいたいなと思っているんです。

千恵子や従業員の前では頼もしい富美夫ですが、アカネには弱いような…。
富美夫の一番弱いところですね(笑)。きっと小さい頃から溺愛して育てたんでしょう。最初の頃は、富美夫の性格上、理由も言わず戻ってきたアカネといつか大ゲンカするんじゃないかと思っていたんですが、どうもそれはなさそうですね。父親っていうのは娘に対して強く出られないんですね。妻にはなんでもバンバン言えちゃうのに(笑)。

富美夫にとっての圭介と美雨はどのような存在だと思いますか?
セリフにもありますが、自分の息子と孫みたいな感覚なんだと思います。圭さんに病気であることを告げられ、本を読んで病気に対するある程度の知識がついた後でも一緒に頑張ろうと言ったのは、社長と従業員という関係を超えている気がしますから。「悪いけど辞めてくれないか」と言うのが、社長としては普通かもしれない。でも、それを言えないというか、言わないで一緒に闘う決断をするのが富美夫の圭さん親子への気持ちを表していますね。

富美夫のアカネに対する気持ちと、美雨に対する気持ちは違うと思いますか?
よく、祖父母にとって孫は無責任でいられるぶん余計にかわいいと言いますが、それくらいかわいいという気持ちはありますね。ただ、美雨ちゃんの場合は、圭さんの病気があるから無責任ではいられないという気持ちは出てきたと思います。

圭介の病気を知った今後、どのような付き合い方ができればいいと思いますか?
病気の進行や症状にもよるだろうけど、仕事面はもちろん生活面でのサポートが必要になってくるとしたら、その時はできる限り支えてあげたいと思います。そして、やはり心配なのが、美雨ちゃんのこと。面倒をみてあげるつもりはあると思うけど、実際はいろいろ難しいですよね。圭さん親子がどうなるのか、難しいところですが、なんとか幸せを感じられる終わり方をしてもらいたいと願っています。

蟹江さんから見て、「中村産業」の環境や人間関係はどう思いますか?
とてもいいですね。居心地が良さそうです。現場も同じ感じがします。みんないい人ばかりで、本当に居心地がいい楽しい現場です。

蟹江さんが今後の展開に期待することはありますか?
僕が思うに、脚本の羽原さんは物語の中にいい意味での小さな裏切りを入れてくるのが得意な方なんですよ。こう進むと思っていた逆の方向に話が転がったりすることが多々ある。富美夫が圭さんを解雇するだろうと思わせておいて、一緒に頑張ろうと言ったのもその一つ。だから、最終回に実は圭さんの病気は誤診だった…なんてことが起こるんじゃないかと、ひそかに思っているんです。そうすればみんなが幸せな気持ちのまま終われるのにと。…さすがに、そんなことはないと思いますけど(笑)。でも、圭さんに限らず頑張って生きているいい人たちが幸せになれる結末を願いたいですね。

蟹江さんが思う、富美夫の幸せとはなんだと思いますか?
そうですね…。大きな幸せじゃなくて、毎日小さな幸せの積み重ねを大切にしていそうです。日々のちょっとしたことに、ちゃんと幸せを感じられる人だと思います。

蟹江さんが感じる、この作品の魅力を教えてください。
普通に一生懸命に生きている人たちの笑いや涙がいいですね。毎回、切なくて泣いたりもするけど、その涙が重たくなく、どこか爽やかさを感じられるような涙というのが素敵だなと思います。

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