interview #06
中村千恵子役 丘みつ子さん
千恵子は"みんなのお母さん"という感じがしますね。
本当にそうだと思います。私自身、そうやってみんなと接している部分がありますから。人が良くて、面倒見がよくて、それでいてド根性もあって。まさに"下町の町工場のおかみさん"という感じがしますね。シーンとして描かれてはいないけど、きっと千恵子はムネさんや秋生の洗濯をしてあげたり、帰り際に夕飯のおかずとかを持たせてあげたりしているように思うんです。「中村産業」は、決して裕福ではない工場だけれど、あの関係性は本当に素敵だなと思います。実際に撮影で使わせていただいている工場の社長やおかみさんや従業員の方たちも本当に良い方ばかりなんですよ。
丘さんから見て、千恵子の魅力はなんだと思いますか?
すごくおもしろいなと感じたのは、7話でアカネが工場の仕事を手伝ってくれた時に社長が「時給100円で」っていうのを、「いまどき100円なんて!150円にしてあげないと」って言い返すシーンがあるんです。たいした変わりはないと思うんですけど、本人はいたって真剣なんですよ(笑)。もちろんアカネはしらけてましたけどね。そういうことも堂々と言えちゃうような、素直というか、かっこつけない感じが好きです。
かっこつけないといえば、千恵子と富美夫は工場で夫婦ゲンカもしてますよね(笑)。
そこもかっこつけない部分ですよね(笑)。この夫婦ゲンカは、とてもスッキリしているんですよ。お互い言いたいことをポンポン言い合っているから、わだかまりが残らないんです。だいたいいつの間にか話題が逸れて、ケンカしたことすら忘れてしまっている感じです(笑)。工場でケンカするから、アカネや従業員が仲裁に入ったりして、そのワイワイとにぎやかな感じも「中村産業」らしいですよね。実は、あまりに爽快なケンカなので演じていても気持ちがいいんですよ(笑)。
千恵子は「中村産業」のムードメーカーであり、縁の下の力持ちかもしれませんね。「中村産業」のような、職場はどう思いますか?
いまどきなかなかない環境ですが、人と人のつながりを感じるいい環境だと思います。私が子供の頃は、近所中がこんな感じだったんです。隣近所の家にあがりこんで、その家族と一緒にご飯を食べて、そのまま眠っちゃって、朝になって家に帰る…みたいな。近所中が「中村産業」の様な感じでした。そんな「中村産業」の中で、千恵子が縁の下の力持ちであるように感じてもらえているとしたらとても嬉しいです。
千恵子にとって、圭介や美雨はどのような存在だと思いますか?
圭さんは息子、美雨ちゃんは孫のように感じていると思います。美雨ちゃんは本当にかわいいんですよ。同じ家ではないけど、同じ敷地内で暮らしているから本当の家族に近い感情がありますし、工場内に小さい子がいるだけで、その場が一気に和んでパーッと明るくなるんですよね。また美雨ちゃん自身がとても良い子で、千恵子にもみんなにもなついてくれているから、ますますかわいく思えるんです。そういう子に男手ひとつで育てている圭さんは素晴らしいと思いますよ。もしかしたら、美雨ちゃんが良い子に育っているのには圭さんの努力はもちろん、「中村産業」の人たちも影響しているのかもしれませんね。
圭介の病気を知り、今後はどのような付き合いになると思いますか?
これは難しい問題だと思います。本当の親子や夫婦であったとしても、どうするべきかの決断を下すのは難しいところですよね。最終的には、圭さんが自分自身で決めることなんでしょうけど、どういう決断をしたとしても、残されたものとして圭さん親子には最大限の愛情を持って接していきたいと思います。
お話を聞いていると、丘さんと千恵子が重なります。
同世代の人物であることもそうですけど、昔、私も下町で同じような環境で育っていたせいか、千恵子のような人をたくさん知っているんです。自分の母親であり、近所の大人の方たちであり、そういう人たちを思い出しながら演じているので、千恵子はその人たちであり、私なのかもしれませんね。
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