短期集中連載
児玉清のひとり言
-きよしあをによし-
第三回「今ごろ僕は…」
みなさん、こんにちは。この連載が公開される頃、僕は奈良にいて、終盤の最大の見せ場である重要なシーンの撮影に入っていることでしょう。不安はなきにしもあらずですが、久々の奈良を楽しみたいと思っています。
さて、第八話の最後で、ついにリチャードは追い詰められ負けを認めてしまいましたね。そして、小川先生(玉木宏)が探していた"目"が、三角縁神獣鏡、つまり卑弥呼の鏡だったということもわかりました。邪馬台国の研究を専門にしているリチャードにとって、卑弥呼の鏡を手にするなんてことは、もう例えようのないくらい大変なことなんですね。まさにあり得ないものを発見してしまい、舞い上がってしまったのでしょう。彼にしたら、本当にいるのかどうかわからない大なまずのために、日本の、いや世界の宝である卑弥呼の鏡を手放すことはとてもできない。だけど、もちろん、小川先生は必死ですよ。青春のある時期を翻弄させられ、今や日本の未来が自分の双肩にかかっているんですから。自分が盾となり人類を守ろうとする小川先生と、かたや手にした奇跡に舞い上がり、何としてもそれを放すまいとするリチャード。第九話では、そんなふたりの相克がうまく出ればいいのかな、と思っています。
第九話では、玉木くんと向い合うシーンがずい分ありました。そんな少し緊張感のあるシーンでも、彼は変わらず普通に会話ができる人でね。かといって、こちらが集中したいときには、その気持ちを汲んで自然に距離を置いてくれる。息子よりも年若いのに不思議と頼りになってしまう、ちょっとおかしないい方ですけど、アニキみたいな感じがします。
今回は、そんな玉木くんのほか若者たちを敵に回して、老人が必死になって戦うという役がとても面白かったですね。この年になると、ただお行儀がいい人よりも、リチャードのようにどこか裏がある悪役めいた人のほうが楽しいというところもあります。そういう意味でリチャードは、久しぶりに情熱を燃やせる役だったように思っています。果たして、ちゃんと演じられているのかわかりませんが……。しかし、こんなふうに書くと、まるでもう終わってしまったように思われてしまいますね。いいえ、お楽しみはまだまだこれからですからね。どうぞ、最後の最後までご期待ください!
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