山田太一の『ありふれた奇跡』
第8回「家族」
(2009/02/13)
この作品は若い男女の恋物語であり、家族の話でもあります。今のドラマは中心人物にかかわる部分だけで周辺の人物が描かれる形が多いですよね。そうじゃなくて、恋物語は恋物語で進行していて、そこに絡みつつも両親や祖父母も全然関係のないところで別の世界を持っていたりする。登場人物1人1人に人生があるという幅を出したかったんです。
この家族もまた、それぞれ秘密やマイナスを抱えています。どんな秘密を抱えているのかはドラマを見てくださる方にはわかりますが、家族同士にはわからないままになる秘密もあったりします。どんな仲のいい心を開いているような家族でも、多かれ少なかれ隠していることはありますよね。隠し事があるのは、別に悪いことだとは思わないし、そういうのもちょっといいじゃないですか(笑)。日常に息苦しさを感じて現実から逃げ出したいと思うことは、みんな当たり前に持っている感情。それを罪のように裁く気はありません。
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