Ns'あおい
-物語-
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高樹は、空港ロビーを駆け抜け、搭乗口の前にいたミホを呼び止めた。すると美沙子は、ミホにヴァイオリンケースを手渡し、微笑んだ。それを受け取ったミホは、ケースの中からヴァイオリンを取り出し、高樹の前で弾き始めた。曲はエルガーの「愛の挨拶」。その美しく優しい音色に、高樹は涙をこらえた。
演奏が終わり、笑顔を見せるミホに、高樹は大きな拍手を贈った。「またね、お父さん!」。そう言って手を振るミホ。高樹は、工藤に向かって静かに頭を下げた。
その夜、高樹は、ひとりで「番長」を訪れ、酒を飲んでいた。あおいとともに店にやってきた小峰は、美沙子から預かった封筒を高樹に手渡した。その中には、幼いころのミホが書いた作文が入っていた。
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