Ns'あおい
-物語-
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本院から戻った高樹は、その足であおいのアパートを訪ねた。高樹は、佐山に会い、彼からお前のことを頼まれた、とあおいに伝えた。そして、小峰があおいと距離を置くようにしている本当の理由を話し始めた。
いまから10年ほど前、小峰が目をかけていた後輩看護師が、痛みで苦しんでいる腹膜炎の患者に、医師の許可なく痛み止めの筋肉注射を打ったのだという。しかし、その針先が神経を傷つけ、患者の右腕に麻痺が残ってしまったのだ。その患者は、まだ中学生で、甲子園を夢見る野球少年だった。それで小峰は、患者と後輩看護師を救えなかった自分を責めるようになったのだという。
そこまで話し終えた高樹は、二度とルールを破らないと約束できるな、とあおいに尋ねた。あおいは、その言葉にうなずくが、もし同じことが起きたら、と続けた。高樹は、そんなあおいの言葉をさえぎって、「もうお前にそんなことはさせない。同じ状況は二度と作らない。それが俺たち医者の務めだ」と告げた。高樹の言葉に、あおいは涙を堪えて頷いた。
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