Ns'あおい
-物語-
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手術を終えた大倉は､｢これで借りはないからな｣とあおいに告げた｡大倉は､ﾚｽﾄﾗﾝの前で吐血した女性と一緒にいた､あの中年男だった｡女性は大倉の愛人だったため､あのとき彼は別の病院に運ぶよう救急隊員に指示していたのだ｡しかも､あおいの処置のおかげで､無事回復したらしい｡
するとそこに､田所が慌てたようすで駆けつけてきた｡大倉は､そんな彼に｢君､誰?｣と､冷たい言葉を浴びせた｡
2週間後､あおいは､無事回復し､退院することになった野呂を見送った｡野呂は､今回の一件で田所を怒らせてしまい病院担当を外されていたが､その表情は明るかった｡別れ際､野呂は､あおいに風船で作ったｳｻｷﾞを手渡した｡あおいの笑い声をｲﾒｰｼﾞした､というそのｳｻｷﾞは､中に鈴が入っていた｡野呂は､苦しんでいる最中も､あおいの声に励まされた､と告白した｡｢これからも､患者さんの希望の鈴､鳴らし続けてあげてください｣｡野呂は､あおいにそう言うと､病院を後にした｡
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