絶対零度
- インタビュー -
倉田 工役 杉本哲太さん
倉田工はどのような人物だととらえていますか?
特命捜査室は創設されて間もない部署。当然、それまではみんなそれぞれ違う部署にいたわけで、クセのある面々を束ねまとめるのが倉田の係長としての仕事だと思っています。特に桜木に関しては間違った方向に進みがちなので、彼女の良さを生かしつつも正しい方に導いていこうとしていますね。桜木とは厳し過ぎず、優し過ぎず、長嶋室長とはまた違った距離感であり関係性を出していければいいなと意識しています。
厳しさと優しさを使い分けているんですね。
倉田を多面的に見せたいわけではなくて、状況や対する人によって対応が変わるのはごく当たり前のことだと思うんです。最初に監督とも倉田にもいろんな面があっていいんじゃないかと話して、大筋のキャラクター設定以外はふり幅の中でいろいろ演じています。
倉田の長嶋、白石、桜木とそれぞれ接し方の違いがおもしろいです。
白石さんとの関係性は本当に微妙ですね。所轄時代の先輩が今の部下って、倉田としても非常にやりにくいと思います。しかも、敬語はやめましょうと言ってるのに使ってこられたりしたら、そりゃあもう…本当に困っちゃいます(笑)。ただ、その戸惑い感もおもしろく映ればいいなと思ってるんです。ほかにも塚本に頼みごとをするシーンでは、倉田は塚本を喫煙室に呼び出すんですね。彼はたばこを吸わないし花粉症だから喫煙室の空気でやや弱らせてっていう、そんなちょっとずるがしこい一面もありました(笑)。
倉田は桜木泉をどう見ていると思いますか?
桜木は刑事らしくない刑事で、事件を素人というか普通の人に近い感覚で見られることが最大の強みなんです。4係が扱っているのは未解決事件で、それはつまり本職である刑事がすでに徹底的に捜査をしても解決できなかったということ。そこにピュアである彼女でしか発見できない"何か"があるかもしれない。だいたいが的外れだったり、とんちんかんだったりするけど(笑)、それでも桜木の視点で新しい面からの光が見えたり、これまでの捜査の定説や決まり事がくつがえるようなことがあるかもしれないと期待してるんです。もちろん本人の前では期待してるなんてことは言わずにひたすら叱咤してますけど、本当は頑張ってもらいたいなと願ってますね。基本的には上司と部下ですが、室長が父親のような存在だとしたら、倉田は親戚のおじさん的な感覚で見ているのかもしれません。
劇中の倉田は4係を見事に仕切っていますが、現場での杉本さんを見ていると少し立場が逆転しているような気がします(笑)。
それはですね…、倉田が上司と部下の間に立つ中間管理職であるように、僕も現場で先輩と若い人たちの間に立ついわば中間管理職だからです。みんなをつなげる架け橋になればいいなと思って、盛り上げようとあえていじられ役に徹してるわけなんですよ。………すいません、うそです(笑)。なぜか、すっかりいじられ役が定着しちゃってるんですよね。
現場で4係の方からツッコミを受けている姿をお見かけしました(笑)。
本当にもう自分でも困ったことに現場でみなさんから総ツッコミを受けているんですよ。倉田とは正反対ですね。信頼の厚い上司という役なのに、あまりにも現場とのギャップがあり過ぎて説得力がなくなっちゃって、その穴埋め作業が大変です。本当に、そこは一番苦労してるかもしれません(笑)。
現場がいつも明るいのには、杉本さんによる貢献度が高いですね。
だとすれば、僕も倉田ばりにいい仕事してますね(笑)。本望です。
普通の事件と未解決事件の違い、またはそれを捜査する特命捜査対策室4係を杉本さんはどう思いますか?
先ほども言いましたが、未解決事件というのは刑事が必死になって捜査して捜査して、それでも解決できなかったもの。しかも人って何か事件が起きてニュースで見たとしても少し時間が経つと忘れてしまいますよね。記憶は時間が経てば経つほど薄れてしまうのに、そんな中で再捜査して事件を解決に導くことは本当に難しく、大変な仕事だと思います。そして解決していないことで苦しみ続ける遺族側の気持ちもある。警察側だけではなく被害者や遺族側の両方の視点で描かれてるのが、この作品の魅力の1つだと思います。
杉本さんの中で未解決のままになっている出来事はありますか?
1週間の内に2日は休"肝"日(お酒を抜く日)を作ろうと思い始めて、かれこれ2年が経過していますが、まだ実行には至ってません。未解決なんです…。これが解決できたら仕事もさぞかし順調になると思うんですが(笑)、これがなかなか難しくて。ぜひ「絶対零度」の撮影が終わるまでには解決したいと思います。
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