天才ダ・ヴィンチ最大の謎と秘密の暗号

◆荒俣宏の"超"ダ・ヴィンチ・コード講座

V.黒いマリア

日本でキリスト教が弾圧された時に、天草の信徒達は地下に潜り
あたかも仏教徒のような、あるいは神道を守っているようなフリをして、マリア様をマリア観音と称し、観音様の形に真似たマリア像を伝えてきた、ということを思い出すと一番わかりやすいでしょう。キリスト教ができたのは、どんなに溯っても2000年前。それよりかなり古い文明を持っていたエジプトやローマなどでは、すでに、人々が崇拝する女神や街の守り神みたいなものはどこでもちゃんとできていていました。 キリスト教という新興宗教が、いきなりその国の宗教に切り替わっても、普通の人はなかなか信仰を切り替えられません。 で、自分達が持っている信仰の痕跡を残しましょうと。イシスという古い女神信仰のあったエジプトは当時、「黒い土地」って呼ばれていたので、マリアを黒く塗って、 キリスト教が強制される前の自分達の信仰とつながりをつけようとしました。 それがずっと伝わってきて、なかなか消えなかったために、黒いマリアの信仰は地下に潜り、 同じ教会でも地下に祀るようになった。
「黒いマリア」というのはそういう意味では、キリスト教以前にいたマリアで、人々に最後の自分達の痕跡を伝える、黙認されたイメージになっていったと考えれば分かりやすいと思います。

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