#139 スタッフからのメッセージ
■ナポレオン・ボナパルト。その名を知らない人は世界中にいないのではないかと思われるほど有名なフランスの第1帝政の皇帝。歴史の教科書には必ず名前が載っている人物。そして「わが辞書に不可能は無い」という言葉を残した人物。
取材前にコルシカ島を調べていると、どの資料にも「ナポレオンが生まれた島である」と書いてあります。彼は1769年にコルシカ島アジャッチュ(アジャクシオ)で生まれました。その生家は今ではナポレオンの博物館として現存しています。それは表通りから何番目かの細い路地を曲がったところに佇んでいる一見普通のアパートメント。正直、とても貴族が住んでいたとは思えない佇まいにびっくりしてしまいました。しかし、外見とは裏腹に中は予想外に広く、当時のサロンやベッドルームをそのままに見る事ができます。他にも当時使われていた壁紙や絨毯、洗礼証明証、ボナパルト家の象牙のブローチ等々数多くの品が展示されていて、貴族の優雅な生活を垣間見ることができます。そして、街の中でもナポレオンの立派な像があちこちに建っていたり、ナポレオン公園、ナポレオンの名前を拝借したレストランがあったりと、至る所にナポレオンに関連した場所があり、如何にナポレオンがこの街に深く根付いているかということが分かります。
そんなナポレオンは9歳までしかこの地で暮らしませんでしたが、三つ子の魂百まで…というように、彼は幼い頃この島で食べていた料理の味が忘れられなかったという話を聞いたのです。そこで今回は是非、そのナポレオンの忘れられなかった故郷の味を再現してみよう、という事になり、ナポレオン研究家でジャーナリストであるポール・シルヴァーニさんにご協力をお願いしました。そこで彼にお話を伺うと、実に興味深い話が聞けたのです。それは、フランス革命の際、ナポレオンが母親に宛てた手紙には「幼い頃に食べたコルシカのチーズやブロッチュチーズのラザニアの味が忘れられない」と書かれていたり、フランス本土の葡萄で作られたワインは不味くて飲めないといってわざわざコルシカの葡萄を取り寄せ、それでワインを作らせていたりと、食事の所々にコルシカ料理へのこだわりを覗かせていたというのです。そこで今回はナポレオンが一番好きだったというコルシカ名産の燻製ソーセージ・フィガデッルとレンズ豆の煮込みを再現していただきました。
いつまでも幼い頃食べていた味が忘れられなかったナポレオン。それは、コルシカ島で過ごした楽しい日々と重ねあわせ、心を癒していたのではないでしょうか。

[0]もどる

(C)フジテレビジョン