#130 スタッフからのメッセージ
■この取材で、まず印象的だったのは、取材地であるソーの町周辺に広がるラベンダー畑です。といっても残念ながら取材時期が花の開花時期とは違っていたため、プロヴァンスの風景としてよく見かけるラベンダーの紫色を見ることは出来なかったのですが、6月から7月にかけての開花時期に、もし、この場所に再び来る事ができたら、どんなにか美しい風景を見る事ができるだろうかと思ってしまうほど、本当に、辺り一面ラベンダー畑が広がっていたのです。それはもう、花が咲いていなくても、つい写真を撮ってしまったほどの景色で、フランス各地を案内してくれるコーディネーターも、しっかり地図に、この場所の印を書き込んでいました。
それから、もうひとつ印象的だったのは、今回取材したホテルのオーナーシェフ、ガトゥシオ・イヴさんです。彼は、こうしたラベンダー畑とスペルト小麦の畑が延々と続き、その間にポツンポツンと小さな町があるだけの静かな土地が気に入り、この場所にホテルを建てたというのですが、実際に訪れてみると、そこは町外れ。山道に入って、こんな所にホテルなんかあるんだろうか?と思うような場所に、突然現れてくるのが、彼のホテルだったのです。そして、インテリアは何故かアジアンテイスト。正直、せっかくフランスの地でフランスの料理を紹介するのに、アジアンテイストってミスマッチかも…なんて少々思ってしまいましたが、シェフの話を聞けば全て納得。彼は、写真や絵を描くことが大好きで、何かを考えたり作っている時に突然と浮かぶ「閃き」、これが、料理を考えるのにも大切なんだと一生懸命話してくれました。そんな中、今、気に入っているのが東南アジアなんだそうです。その理由は、景色や人柄もありますが、強いスパイスの利かせ方、強火で一瞬に火を通す料理方法など、もちろん興味は料理の方にも向いています。見せて頂いた写真も、こうした東南アジアのものばかり。なんでも興味を持ち、自分でやる事が大好きな彼は、だからこそ、このホテルのコーディネイトもアジアンテイストにしてしまったという訳なんです。
さて、番組で紹介した食材・スペルト小麦は、古くは紀元前9000年前から料理に使われてきた穀物のルーツともいわれるもの。フランス語では「エポートル/Epeautre」と言います。今では、小麦が主流を占め、料理の食材としては忘れられかけていた存在でしたが、15年ほど前、その栄養の豊富さなどが見直され、再び、注目を浴び始めているようです。今回、作って頂いたデザートは、イヴさんの閃きの賜物で、なんとアイスの材料にスペルト小麦のビールを入れるという斬新なもの。こうしたシェフのアイデアで、古代の麦も、その存在価値を回復していくのかもしれませんね。

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(C)フジテレビジョン