#129 スタッフからのメッセージ
■「♪橋の上で、踊ろうよ踊ろうよ、橋の上で、輪になって踊ろう…♪」
昔、こんな歌を唄った記憶がある方はいらっしゃるでしょうか?私の周りで聞いてみると、30代後半位になると、曲のフレーズさえ聞かせれば「ああ、聞いたことがある…」と反応が返ってきました。(20代に通じなかったのがビックリでしたが…)
聞いた事がある人ならお分かりだと思いますが、この曲の歌詞にある「橋」というのが、今回取材したアヴィニョンを流れるローヌ川に掛かる橋「サン・ベネゼ橋」、通称「アヴィニョン橋」なんです。ここアヴィニョンの中心には、巨大な建造物「法王庁宮殿/Palais des Papes」があり、その周辺は旧市街として中世の建物が、当時の面影を漂わせています。この街に、こうした建物が残っているのは、14世紀、1307年から1379年の間にローマ教皇が住んでいた時代があるからで、今も、たくさんの観光客が、こうした雰囲気を味わいに、この街にやってきています。そして、そんな観光客の多くが買って帰るお土産物…そして、他の地域では絶対に手に入らないお菓子…それが「パパリン・ダヴィニョン」なんです。
実は、このお菓子が出来るまでには、こんな出来事があったそうです。
それは1960年の事。この街の菓子職人組合で、一つの議題が上がりました。「この街には、こんなに観光客が来るというのに、これといったお土産がない。皆で考えて、何かお菓子を作らないか…」そこで材料として候補に上がったのがチョコレート。菓子職人としてチョコレートを使ってお菓子を作るのは技術もいり難しく、逆に、だからこそ、チョコレートを使ってお菓子を作り上げれば、それは菓子職人としての誇りにもなる。そう考えた彼らは、では、そのチョコレートに何を合わせるかを考えたのだそうです。そして試行錯誤の上選ばれたのが「オリガン・ドゥ・コンタ」という名のリキュールでした。プロヴァンスには、昔から、薬草を使ったリキュールが数多くあり、その中でも1870年に誕生し、60種類以上の薬草を使っているこのリキュールは、その後、この地域でコレラが流行った時に患者に飲ませていたという逸話もある、この地方でも有名なものだったのです。そして、いよいよ名物のお菓子が完成すると、彼らは、ローマ教皇が住んでいたこの街の歴史を記念して、このチョコレートに「パパリン・ダヴィニョン」という名前を付けました。更には、お菓子の品質を守るため、レシピを守るため、全てを同じ味にするために製造工場を1箇所に限定。販売地域も、アヴィニョンのあるヴォークルーズ地方のみに限定し、他の地域では絶対に手に入らない、この街の名産品を作り上げたのです。ですから、菓子職人組合に所属するアヴィニョンのお菓子屋さんには、必ずパパリン・ダヴィニョンが置かれています。その代わり、ヴォークルーズ地方以外にあるお菓子屋さんでは絶対に売っていないというのがこのお菓子。その徹底振りは大したもので、その苦労のお陰で、現在は、街を代表する味となっています。
ちなみに、このパパリン・ダヴィニョンを食べる時の注意!それは、上品振って小さな口でチョコをかじらずに、一口でパクッと口に入れること。実は、私が食べようとした時に注意された事でもあるんですが、一口で口に入れずにかじってしまうと、中に入っているリキュールが、飛び出してきちゃうんです。ただ、そう聞いて口の中に入れてかじってみると、今度は、結構アルコール度数が高いリキュールが口の中一杯に広がってきます。これはこれで、お酒の好きな人には大人の味として充分楽しめるんですが、お酒の苦手な方はちょっと注意が必要です。念のため。
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