#128 スタッフからのメッセージ

■「ラ・ターブル・ドット/La Table d'Hote」これは、フランスで食事をする時の食事形式の一つです。日本の旅館などに行くと、泊り客皆が食堂に集まり、その日、旅館の板前さんが考えたひとつのコースメニューを、皆が同じように食べる事は良くある事だと思います。民宿やペンションなどもそうですよね。宿泊料金の中に「食事付き」と書かれていれば、それぞれがオプションメニューを付ける事はあっても、基本的な料理はどのテーブルに行っても同じものが乗っているはずです。ところがホテルの場合、その多くは、建物の中にいくつかレストランがあり、お客は自分の好きな店に入り、好きなものを好きなだけ選んで注文し、食べて帰る。御存知のように、海外のホテルに宿泊した場合は、そんなシステムがほとんどなんです。そこで登場したのが、今回紹介した「ターブル・ドット」と呼ばれる形式と「シャンブル・ドット/Chambre d'Hote」と呼ばれる形式です。
まず「シャンブル・ドット」から説明すると、「シャンブル」とはホテルなどの「部屋」という意味なので、ここでは先に例を挙げた旅館や民宿のような形式です。宿泊客が、その日シェフが考えた一つのコースメニューを、皆が同じように食べる宿をこう呼びます。そして「ターブル・ドット」は、やはりシェフが考えたコースメニューを、皆で食べるのは同じですが、この場合はレストランで行われ、その上、大きなテーブルに皆で座り、テーブルのすぐ横に設置された厨房でシェフが料理するのを見ながら、出来たての料理を食べる事ができるという仕組みなんです。この場合、面白いのは、もちろん大人数で予約して、仲間とワイワイやりながら食事をするのも一つの楽しみ方なのですが、少人数の団体が大きなテーブルに相席し、見も知らぬ人と同じ料理を食べるのも、このターブル・ドットの楽しみ方なんだそうです。今回取材したホテルには、世界各国から来た旅行客が、このターブル・ドットに参加することも多いそうで、始めて顔をあわせ、言葉もろくに通じないお客達が、皆で同じ料理を口にし、同じ時間を共有する事で、どんどん打ち解けて会話が進み、楽しい夜を送っているんだということ。こんな話を聞くと、どこかの高原のペンションの食堂で、食事をしながら見知らぬ人と意気投合し、新しい友達が出来るような雰囲気を想像しますが、それが、このフランスの地で、それも見知らぬ外国の人との間で体験できるなら、海外旅行もより楽しくなるのではないでしょうか。フレンチのレストランというと、ちょっとカシコまって気取った雰囲気を想像しがちですが、たまには、こんな雰囲気で、一流シェフのコースメニューを味わってみたい。そんな気にさせられました。

[0]もどる

(C)フジテレビジョン