#127 スタッフからのメッセージ

■今年もクリスマスの時期がやってきました。ヨーロッパでは、クリスマスイヴの24日から1月6日までクリスマス休暇を過ごします。この番組でも、毎年恒例のように、各地でどんな風にクリスマスを過ごしているのかを取材していますが、今回の取材地は、本土とは離れたコルシカ島。どんなクリスマスの夜を過ごすのか、ちょっと期待していました。今年訪れたのは、コルシカ島の東海岸。南北に長いコルシカ島のちょうど中間辺りに位置するアレリアという町でした。ここには、もうほとんど湖に近いと言って良いほど穏やかなディアナ湾があります。細長い半島が海側に回りこんでいる地形で、海と繋がっている部分はほんの少し。そんな場所で、フランスのクリスマスには欠かすことが出来ない「牡蠣」の養殖が行われていたのです。
さて、ここで素朴な疑問。「何故、フランスではクリスマスに牡蠣が食べられるのか?」実は、この疑問を養殖場の人にも、コルシカの料理研究家の人にもぶつけてみたのですが、返ってきた答えは「収穫の時期だから」「旬のものだから」というものでした。コーディネーター曰く「やっぱり、こういうおめでたい時期には、旬の美味しいものを食べたいもの。牡蠣といえばフランスでも、そんなに安いものではないので、こういう年末年始のめでたい行事にかこつけて、皆で食べるパーティなどの席で食べるようになったのではないか」という事でした。まあ、納得いくような、いかないような答えとなってしまいましたが、とにかく間違いなく、フランスのクリスマスに牡蠣は付き物のようです。以前、ブルターニュ地方でやはり牡蠣の養殖場を取材した時にも、生の牡蠣を貝殻に入れたまま山のように積み上げて、クリスマスツリーの如く飾ったポスターが貼ってあったのを思い出します。番組の中で紹介した食事シーンをご覧になってもお分かりのように、フランスの人もコルシカの人も、生のままでもグラタンにしたのでも、牡蠣をよく食べる事食べる事。びっくりです。そういう自分も、こんな良い機会はないと思い、取材の打ち合わせ時の昼食代わりに、そして取材後の夕食代わりに、思い出しながら数えてみると30個近くの牡蠣を食べてしまいました。もう本当に、テレビでご覧になっているだけの方にはスイマセンって感じです。ただ、それにはまた訳があり、この養殖場で育てられている牡蠣は、他の養殖場のものより大粒で厚みがあり、甘みも多く、今まで食べていた牡蠣とは、また違った味わいがあったからなんです。これは養殖の方法に理由があり、湖のように周りを陸地で囲まれたディアナ湾。その地形を利用して水温や水深、海水の濃度までを調節した養殖方法。その2つの環境を最大限に利用して、他の養殖場では2〜3年かけて育てるところを、わずか10ヶ月で牡蠣を育てているからこそ、こんなに肉厚の牡蠣が出来るんだそうです。まあ、こういう牡蠣が手頃な値段で、しかも身近な所で手に入るような環境にいれば、日本でもクリスマスに牡蠣をたらふく食べてみよう、なんて事を思うのかもしれませんね。ちなみに、この養殖場では、この時期だけで、1年の半分近くの収入があるんだそうです。という事は、それだけクリスマスの時期に牡蠣が食べられているということ。本当にフランスの人は牡蠣好きなんですね。
まったくの余談ですが、やはり取材でパリに行き、一度にひとりで60個もの牡蠣を食べて、周りに止められた牡蠣好きのディレクターを知っています。まあ気持ちは分からなくはないですが、いかに美味しくとも、やっぱり食べ過ぎはよくないですよね。美味しいものは程ほどに味わって、その余韻も楽しむ。こうありたいものです。

[0]もどる

(C)フジテレビジョン