#119 スタッフからのメッセージ
■ランジス国際市場。広さ約232ヘクタールの中には1300を超える店が並び、実に12000人もの人々が働いています。ヨーロッパ中の質の良い採れたての野菜、果物、魚介、肉、乳製品、加工品、切花植木から調理道具までありとあらゆる「食」に関するものが全て揃っている総合市場。日本では見たこともない野菜や魚もたくさんあり、うろうろしていると、あっという間に時間が経ってしまいます。食品はわかるけど、なぜ花まで置いてあるのか?と疑問に思いますが、それは「花も食の一部」であるから。食用花は勿論ですが、ここでは食事をするテーブルに置くための花や観葉植物が売られています。おいしい物を食べるテーブルには美しい花も必要。ということで、この市場に来れば食事のトータルコーディネートができるというわけです。
さて、もともとランジス国際市場は、1969年までパリの真ん中レ・アールにあったパリの中央卸売り市場が、パリの南約7キロ、オルリー空港に近いランジスに移ったものです。このパリ中央卸売市場の始まりは12世紀。湿地帯であったこの場所に日常雑貨品のバザールを開催したことが、市場の始まりになったそうです。そして、中世以来、この界隈には市場が立ち、13世紀フィリップ・オーギュスト王の時代には常設市場になり、20世紀初頭には市場の規模は4ヘクタールに及び、ますます大規模になっていきました。しかし、近年になって、建物の建て過ぎ、交通の不便さ、衛生上の問題(ねずみが大繁殖)、人口増加による市場の需要と供給が追いつかなくなる、などの様々な問題が発生したため、ランジスに丸ごと市場を移転したというわけです。
日本の築地市場とは一味違う雰囲気ですが、働く威勢のいい人達の気質は同じ。新鮮な食材を扱う人々のやり取りは勢いがあってとても面白く、一息ついている男達は皆でお酒を飲んでその日の疲れを癒しているのでした。その市場で働く人達の為に市場の中にあるレストランは取材したルイエさんのレストラン以外にも20軒ほどあり、市場の人々のお腹を満足させています。一般の人は市場では買い物はできませんが、レストランで食事することは可能。ところで、市場の中のレストランは市内のレストランに比べて量が多くなっています。それは朝一番から働く男達に合わせてのシェフの心遣い。新鮮な食材を使って素晴らしい料理ができる喜び、そしてその新鮮な食材を使ってこんなにおいしく料理してくれたという喜び…。この市場ではそんな風に互いに感謝しながら、よりいいものを求め合い、向上しているのです。
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