#117 スタッフからのメッセージ

■これまでにも何回か番組でチーズを取り上げてきましたが、このマロワールチーズが今までで一番香りの強いチーズなのではないでしょうか。マロワールチーズはピカルディーを代表するナンバー1チーズ。その特徴はオレンジ色の表面。そしてその表面に触れるとねばっとした感触がして、しばらくにおいが取れないくらい強烈なにおいが残ります。これは「リネンス菌」と呼ばれる納豆菌に近い菌の為。これがマロワールチーズをおいしくしているのです。もともとの発祥はティエラシュ地方のマロワール修道院。962年にこの修道院の修道僧が作り始めたと言われています。冷蔵庫がなかったこの時代、塩水や地酒などでチーズの表面を洗い、チーズを殺菌していたものが、今ではウォッシュタイプと呼ばれるこれらのチーズの起源になったと考えられています。それに加えてこの土地ならではの気候がマロワールチーズを作り出しました。この地方は起伏の激しい土地。そこに海から強く吹いてくる風が山に当たりここだけ気圧が変わり、更に粘土質の土地が幸いし、独特の湿気が生まれ、それがマロワールチーズにとってはぴったりの気候だったというわけです。マロワールはこうして長きに渡り作られてきた、まさに伝統のチーズと言ってもいいものだと思います。
お邪魔したチーズ農場では、できたてのチーズが敷地内にあるブティック(お店)で直売されていました。ここはマロワールチーズの他にもフロマージュ・ブロンなどのナチュラルチーズも売られており、色々な味を堪能できるのです。町から少し離れているにも拘らず、チーズを買いに来る大勢の人々。中にはベルギーから買いに来た、というご夫婦までいたくらいです。いったい何人家族なんだ?と思うくらいたくさん買い込んでいかれました。本当にヨーロッパの人達にとってチーズはなくてはならないものなんだと改めて感じました。
さて、においが強い強いといいますが、実際に食べて見るとその味はとても柔らかく、ミルク自体の甘みと染み込んだ塩味がほどよく、濃厚でコクがあるのにしつこくない、という感じ。そのままワインのおつまみとして楽しむ、というよりは様々な料理に使って奥深いその味を楽しむといったことに向いているチーズ。また、マロワールチーズを使ったレシピも数多く存在しています。ソースにしたり、コロッケの中に挟んだり、肉の上に置いて焼いたり…。その中でも今回紹介した料理、「フラミッション・オ・マロワール」はマロワールチーズを使った定番中の定番メニュー。町の人なら1回は食べたことのある料理は是非、おすすめの一品です。

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