#94 スタッフからのメッセージ
■「クレーム・ブリュレ」と「クレーム・カタランヌ」がどう違うのかというと、調べれば調べるほど、同じものだという結論になるのですが、強いて言えば柑橘系の香りがカスタードクリームの中に入っていることかな、とも思います。「ブリュレ」はフランス語で「焦げた」という意味で、クレーム・ブリュレのレシピの本の中には、生クリームとカスタードクリームを合わせた物を型に詰め、上に砂糖を振りかけカラメリゼしたお菓子とあります。カラメリゼとはグラニュー糖をかけバーナーで炙るとありますが、焼き鏝を使ってほしいともあります。単純に焼き鏝を使うから「カタランヌ」とは呼べないようです。その違いの結論はさておき、冷やしたカスタードと、熱く焼かれたカラメルを同時に食べるという発想のデザートは、フランスの食文化の豊かさを示す逸品には違いないと思います。
14世紀からの文献を読み、カタロニア時代のこの地域の料理を作っている料理研究家のコメラドゥさんのお宅は、1850年に彼女のお祖父さんが建てたという石造りの素敵な家で、中には古い台所用具などが置かれ、フランスの伝統を感じさせてもらえるお宅でした。失礼かもしれませんが、とても「かわいらしい」感じのするおばあちゃんで、クレーム・カタランヌを作ってくれる間、ずっと作り方の説明をしながら手を動かし続け、料理研究家らしさが自然と体から滲み出ているような方で、彼女の住む家と同じように、彼女自身からもフランスの伝統を感じる私たちでした。
驚いたのは、レストランでは電気式の焼き鏝を使っていたのに対し、彼女はレンジの直火で焼く鏝を二つも家に持っていたという事と、上に振りかけられた砂糖の量の多さでした。しかしそれは、カタロニア時代からあったクレーム・カタランヌを作る彼女にとって絶対に欠かせないもので、出来上がりのクレーム・カタランヌにもまたまたフランスの伝統を感じる取材となったのでした。本物を望む方は、ペルピニョン周辺のレストランへ行けば食べられますが、自宅で作ってみたいという方は、ぜひ、円い形の鏝を手に入れて焼き目を付けてみてください。
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