朗読Legend
- 稽古日誌 -

◆其の七 「そもそも」
└奥寺健アナウンサー
本番一週間前、ついに通し稽古ができました。
出演アナウンサーが全員集まって稽古するのは、ほぼ不可能。しかし、本番と同じ曜日で稽古スケジュールを組むことで、難局を乗り切りました!

さてこれまでも触れてきたように、朗読に演劇の要素をMIXした新しい世界を描く「朗読レジェンド」は、実は更に日本舞踊もコラボレートします。日本語を操ることが仕事であるアナウンサーが言葉とは別の回路を通して"和の心"に触れるのは、とても大切なことと思います。また、人前での佇まいの基本を学んでプラスになることは多いと思いました。

更に、今回は演技する場面があるため、台詞を憶える必要がありました。ここで、私たちは"憶え方"の基本を教わりました。台詞を憶える第一歩は「心の地図を書くこと」。演じる役柄において、現在の状況や過去の体験を具体的にイメージし、それを自分自身の過去の体験などに置き換えて、記憶しなおします。これが「心の地図」。その道に沿って進むと心が自然に動き、結果言葉が自分の口をついて出てくる…これが台詞なのです。これは、私を含めほとんどのアナウンサーにとって初体験でした。

しかし、これを普段の仕事に置き換えてみると、アナウンサーにとって取材が大切であるのと同じだと思いました。現場に足を運び自分で取材をすると、結果、伝えたいことの中身がより伝わります。読み方のテクニックに取材が勝るケースが少なくないことは、普段よく感じるところです。テレビにおけるメッセージの伝え手にとって、この経験は仕事の基本を再認識させてくれました。

舞台に立つとき…私たちは、お金を払って見に来てくださったお客様に対する責任をはっきり感じます。それは、何百万、何千万という視聴者の方に対する責任と相通ずると思いました。更に思うのは、どんな作品にも、限られた条件下での工夫と努力が潜んでいるということ。そして何より、チームワークが大切ということ…。

私自身、今回の演劇・日本舞踊の要素や公演自体をそのように捉えつつ、準備を進めてまいりました。朗読レジェンド『源氏物語・宇治十帖』、今までになかったものになります。今週末、会場で皆様をお待ちしております。どうぞお楽しみに。

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