金曜エンタテイメント
直木賞受賞作品
ドラマ特別企画
『空中ブランコ』

「精神病」に侵されるかどうかは、想像以上に紙一重であり、実は現代人のほとんど全てが、程度の差こそあれ、その予備軍ではないだろうか。今回描かれている3人の患者達、人間関係に悩み不眠症に陥ったサーカス団員・山下公平、誇大妄想のモデル兼タレント・安川広美、尖端恐怖症のヤクザ・猪野誠司。彼らがそれぞれに抱える心の闇を見て、部分的にでも自分との共通点を見出し、いつのまにか感情移入してしまう方は少なくないはずだ。人は、自分の性質が置かれている環境に適していない場合でも、立場を守ろうとするあまり、欠点を隠そうとする。そうして自分自身を抑圧し続けることで生まれた精神の歪が、肥大化して表に出てきてしまった時、公平や広美や猪野のように、「精神病」というカテゴリでくくられているかもしれない。

伊良部は、すべての患者の味方になり、共感してあげる。そのことで患者は安心感を抱き、徐々に心の緊張を解いていけるのだ。そんな伊良部一郎に、テレビの視聴者の方々でさえも、この作品を観終る頃には、癒されて心がほぐされていることを願っている。

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