インタビュー

鯉淵修役 工藤阿須加さん

収録現場の雰囲気はいかがですか?
座長の芳根(京子)さんの明るさは、初めてお会いした時に太陽のような方だと思いました。その印象は現場でもそのままで、本当にみんなを笑顔と活気にあふれさせてくださいます。真剣に取り組んでいるのはもちろんですが、変な緊張感はなく、リラックスというかニュートラルな芝居の出来る楽しい現場です。
『海月姫』という作品を読まれての印象は?
原作とドラマの大きな違いは僕が演じる修と瀬戸(康史)さんの兄弟関係です。原作では修が兄なのですが、ドラマでは弟なんです。これは原作と変えることで、もしかしたら違うニュアンスになってしまうかもしれません。そこが少し不安ではあったのですが、全体的には原作に忠実なコミカルでドラマとしても見やすい作品になっていると思います。オタクな登場人物がたくさん出るんですが『海月姫』ではネガティブには取り上げていません。むしろ人が10人いれば10人の色があって、その誰もが輝くことが出来るんだということを描く作品なんだと思っています。
修はどのようなキャラクターと捉えていらっしゃいますか?
修は“童貞エリート”という“童貞界のエース”みたいなキャラクター。でも僕はそこの部分はあまり意識しないで演じようと思いました。修はあくまで過去の女性に関するトラウマがあり、その延長線上にある人生でたまたま女性経験がないというだけだと思うんです。恋愛では女性との距離感をどうとったら良いのかわかっていませんが、女性と仕事をすることもあるので別に女性が嫌いということもありません。ですので、演技では恋愛対象…迫ってこられたりとか好きになってしまった女性に対しての目線を少しずらしたり、声のトーンを変えたりすることを意識しています。基本的に修は善良な人間ですので、細かい部分の演技ですね。
修と蔵之介の関係は?
素敵だと思います。母親は違うんですけど、とても仲は良いですよね。キャラクター的にはお互いにないものを持っているのが良い方向に出た兄弟なのかもしれません。いつもお互いのことを考え、思いやりを抱いていることは演じていてもすごく感じます。そのおかげなのか、瀬戸さんとは2回目の共演ではあるんですけど、本当の兄弟のように接していただいているので、それがさらに映像に還元出来れば良いと思っています。
瀬戸さんはどのような方ですか?
ひと言で言えば“優しいお兄ちゃん”です。常に周囲に気を使うことが出来る方です。僕自身は長男なので、兄が欲しいなと思っていたのもあって、瀬戸さんは理想の“お兄ちゃん”です。
瀬戸さんは工藤さんを“真面目で正義感が強い”“修に似ている”とおっしゃっていました。
そうですか?僕自身はそんなに真面目ではないと思っているんですけど(笑)。でも確かに性格的には修と似ているかもしれませんね。僕は妹が3人いるので、修のように女性にオドオドはしませんけど(笑)。
月海(芳根京子)のような女性はどう思いますか?
素敵だと思います。月海に限らず“尼〜ず”もそうなんですけど、ひとつの事に対する深い専門知識を得る、そこまで集中出来るのはすごいことだと思うんです。ぶれずにひとつの事に突き進むことが出来る女性は好きですね。僕はそういう人にそばにいてもらって教えてもらいたいです。でも、逆に僕の好きなものにも興味を持ってもらいたいですね。“尼〜ず”もそうですけど、彼女たちはそれぞれの趣味は違うのに寄り添っているじゃないですか。それは極めているものを認め合うことが出来ているからですよね。そんな関係性が魅力的です。
“尼〜ず”のみなさんを現場で初めて見た時の印象は?
すごいです。原作のキャラクターたちがそのまま出てきたんじゃないかと思いました(笑)。ジジ様(木南晴夏)、ばんばさん(松井玲奈)、まやや(内田理央)、千絵子(富山えり子)が本当に生きているというか…。少し引いてしまう修の感情が自然に出てきたんです。僕自身はむしろオタクな方たちが好きなんですけど、修としての感情が出てきたのは“尼〜ず”のみなさんのおかげですね。だって月海に“気色悪い”ですよ?あれは人として言っちゃいけない言葉ですよね。 それを言ってしまう修は、天然で正直な人間だとも思えるんですけど(笑)。
コメディー、コミカルさはどのように出そうと思われますか?
どれだけふりきれるか…なのかなと、思っています。感情だけでは表現出来ないところにコメディーの面白さがあると思うんです。ですので、自分の感情の振り幅を出来るだけ大きくすることを学ぶチャンスでもあると考えています。1話で蔵之介の部屋から出て行く時、ドアにぶつかるシーンもなるようになれと思ってやりました。作ろうとか笑いを取ろうとして生まれるものではないと思うので、その場の自然な空気感やとっさのヒラメキに委ねてみようと。それが計算ではなく感情をも超えていくことなのではないかな?と。
月海や修、蔵之介たちはこれから変化を遂げていきます。工藤さんは今までに自分が変わったと思われたことはございますか?
常に変化はしていたいなと思います。毎日、いろいろな方と出会うだけでも影響を受けますから。僕は人に会うこと、話すことが大好きなんです。ひとりでご飯を食べに行っても、気がつくと10人ぐらいの知らない方たちと仲良くなって食べていたりするんです。でも、一番自分が変化したのは役者になろうと思った時ですね。スポーツだけやってきた僕が全然違う世界に行こうと思ったんですから。
最後にドラマをご覧のみなさまにメッセージをお願いいたします。
この先、まだまだ恋もあり、それぞれの登場人物が壁にぶつかり、『天水館』がどうなるのか? という問題などなど、本当に盛りだくさんの展開が待っています。見てくだされば、毎回、ドキドキ、ハラハラ…そしてたくさん笑えると思います。引き続き、楽しみにしていただければ嬉しいです。

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