インタビュー

鯉淵蔵之介役 瀬戸康史さん

収録も進んでいますが、現場の雰囲気はいかがですか?
それはもう共演者全員が言うと思うんですけど、本当に良い現場だと思います。役者のみなさんは魅力的な方々ばかりだし、何よりスタッフさんたちが疲れているにも関わらずエネルギーにあふれていて、いつも笑顔で僕たちの気持ちを上げてくださるんです。他にはなかなかないのではと、幸せを感じています。
そんな中、第1話が放送になりましたがいかがでしたか?
どうでしょう?女装姿の自分はなかなか客観視が出来ないんですけど、それは置いといても作品としてとても面白かったと思います。原作のコメディー要素とそれぞれのキャラクターの立ち方に、ドラマならではの人物の心情が丁寧に織り込まれていたのではないかと。そして、全てをまだ見せていない感じというか、2話、3話と早く見てみたいと思いました。また、“尼~ず”のキャラクターが強烈なので、見ているうちに僕の女装なんか気にならないものに思えてくるのもありがたかったです(笑)。
瀬戸さんの女装はとても綺麗ですよ。スタジオで初めて生の女装姿をお見かけした時は、どこの女性モデルさんだろう?と思いました。
そうなんですか?いや、そう言っていただけると嬉しいです。でも、今、僕はSNSなどに女装姿をわざとたくさん出しているんです。これは戦略的な意味もあって、まずみなさんの目を慣れさせてしまおうとしているんです(笑)。
そのほか、蔵之介を演じるために試みられたことはありますか?
体重を落としたり、女装した時により女性らしく見えるようにいろいろとやりました。大切だと思ったのは、女装=蔵子の時と蔵之介の時の違いを心情面からも出すことです。蔵子の時の方が活発でエネルギッシュな感じを出して、蔵之介はどちらかというとセンチメンタルと言うか、より内面が見えるように意識しています。
弟の修(工藤阿須加)と蔵之介の対比も面白いですね。
原作では弟が蔵之介で兄が修なんですけど、ドラマでは逆になっています。でも、そこはあまり意識していません。原作の東村アキコ先生が描いて下さった蔵之介と修が存在感のある“人”としていれば良いと思うんです。蔵之介と修の関係はマンガチックなので、そこを楽しんで頂きたいです。修はもう天然というか、すぐ舞い上がったりテンパったりと本当に可愛らしい弟ですから(笑)。そんな修を魅力的に演じている阿須加くんがまた素敵です。
工藤さんはどのような方ですか?
本当に真面目で正義感の強い青年ですよ。厳しいけど愛のある家庭で育ったのだろうなと感じられます。修のようにおっちょこちょいではないでしょうけど、根の部分に持っているものは似ているかもしれませんね。
このドラマのテーマはどのように思いますか?
原作は最後まで一気に読みました。そのイメージは台本にももちろん生かされています。その上で東村先生がこの作品で伝えたかったことは、変身ということと、自分と向き合うことだと確信しました。キャラクターが面白く、コメディーでもあるんですけど、本当に伝えたいことはそこにあるのではないかと僕は思っています。
月海(芳根京子)たち“尼~ず”、蔵之介も女装など、オタクキャラクターが展開します。瀬戸さんはオタクと言われる人たちをどう思われますか?
オタクというと、どうしてもネガティヴな印象を持たれたり、そう見てしまう方も多いのではないかと思います。でも、僕はオタクと呼ばれる方たちを尊敬しています。何かに興味を抱いて深く知ってみたいと思っても、継続することは難しいですよね。継続出来る方はすごいと思うんです。僕自身、何オタクですか? と聞かれると何もないんです。“尼~ず”がそれぞれに持っている趣味の情報量は半端ではないですから。本当に好きじゃないと出来ません。
月海を始め、そこからどのように変身するのか?ですね。瀬戸さんご自身が変身、変化を感じられたことは?
変身かどうかは分からないんですけど、僕はもともと獣医を目指していたんです。役者の世界には、たまたまオーディションに合格したことで入ったんですけど、右も左もわからなくて、自分の居場所とか、もうどうしたら良いのか分かりませんでした。それこそ辞めたいと思ったこともありますよ。でも、20歳ぐらいから責任感とか、芝居をする楽しさ、作品をゼロから作っていく過程のワクワク感、いろいろな役を演じることで自分が知らなかった世界を知ることも出来るんだと気がついたんです。たくさんの方とも関われますし、とても良い仕事だとも思いました。それが僕の変化だと思います。そもそも獣医から芸能界は180度違う世界ですけどね(笑)。今はとにかく少しでも興味を持ったものにはとりあえず触ってみたいと思っています。
特に今やってみたいことはありますか?
芝居というものは常に軸にあるんですけど、文章を描いたり絵を描くのが好きなので、表現者としてそちらの方向もためしてみたいです。また、芝居と近い部分もありますが声の仕事も興味があります。今もナレーションの仕事をやらせていただいてるんですけど、他の可能性もあると思いますので。表現者として自分が挑戦できることは何でもやってみたいです。
月海もこれから変わっていきます。月海をどのように思いますか?
月海にとって母親の死などが自分自身にブレーキをかけている要因にもなっています。そこから解き放たれるためには、かなりのエネルギーが必要になると思うんです。みなさんの中にも過去にとらわれていたり、なかなか自分が変えられなくて苦しんでいる方はたくさんいらっしゃるのではないでしょうか? そんなみなさんに『海月姫』の月海や蔵之介たちのキャラクターを通して、時には人に頼ったり、甘えることがあっても良いんだと感じていただけると思います。
芳根さんと演じられて、いかがですか?
大好きです。本当に魅力的な方で、会った瞬間から“気が合うな”と思ったんです。芝居してみたら、それは間違いではなかったと(笑)。芳根さんはコメディーが初めてとおっしゃっていましたけど、僕の蔵之介もそうですけど、月海のような役はなかなか巡り会えないし、難しい役だと思うんです。でも、芳根さんは監督から指示されたことを即座に演じる瞬発力でそれを乗り越えていきます。彼女自身の人柄が月海というキャラクターに影響して、それが僕たちに影響して…と、とても良いチームになっていると思います。
最後に視聴者のみなさまにメッセージをお願いいたします。
今回は月9枠ということで、原作よりラブの面がドラマでは描かれると思います。ポスターをご覧いただければわかりますけど、個性的な登場人物ばかりなので、それを見ているだけでも楽しいのですが、ストーリーも丁寧に描かれています。それぞれが抱えている葛藤などにも共感しながら見ていただける作品ですので、最終回まで是非よろしくお願いします。

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