インタビュー Interview

長塚京三 / 白石庸介役

台本を読まれた感想を教えていただけますでしょうか。

原作については、山崎豊子さんの初期の作品で時代がかかっていますのでとても懐かしいといいますか。
脚本では、人間が現代風に柔らかく脚色されていると思います。
当時の女性が仕事をするなんてことが、しかも企業を立ち上げ企業を引っ張っていくということはまだ難しい時代に大変だったろうなと思います。
家業をついで店主になる、というような女性はいただろうけれど女性でありながら起業家というのはとても希有な存在だったことでしょう。
それは才能の問題なのか時代がそこまで成熟していなかったのか。
ファッション界も女のものかと思いきや案外そうでもない。
男の中で頭角を現すためには結局何かを捨てざるを得ない、それは女性としての幸福、といったそういうことなのだろうな。
男のエネルギーそういうものにとりこまれなければならず、それとの戦いです。
女の勲章ってなんだろう。
勲章、というのは本来、女性には似合わないものであり、男のものです。
式子さんは“勲章”を得た途端に大きなものを犠牲にした。そういう時代に式子さんは生きた。式子さんは理解されにくい時代であり何かを犠牲にしないといけなかった、ということでしょう。

綺麗な服を着るという夢の部分と、企業として起こさなければ、男達とわたりあい経営者として成功しなければならないという難しさの部分とを人はどう見るのだろう。

白石教授は式子さんにとって唯一心安まる存在だったと思いますがいかがでしょう?

だけどやはり理解され切れない何かがあるでしょうね。
人それぞれ、幸せの求め方というのは違うわけで、恋愛というのは一瞬交差するんだけど、式子さんの幸せはたぶん白石さんの考えているものと違って、そこにはお互いの理解がいかなかった。
悲劇的な恋ですよね。

松嶋菜々子さんとの共演はいかがでしたか。

松嶋さんの映画デビューでもご一緒していてその時も恋人同士でした。それ以来、時間が経てもまた恋人を演じさせていただけるということで楽しみにしています。

視聴者の皆さんに向け、この作品の魅力を教えていただけますでしょうか。

長塚京三 / 白石庸介役

いい服を着るという女の人の執念、それにつきるんじゃないかと思います。
それを商売にしようとした、“女の勲章”にしようとしたという話しに展開しますが、そもそもはいい服を着たい、ないならつくろう、みんなにいい服を着せたい、それは本当に女性の願望じゃないでしょうか。
(実現することが)実際に厳しい社会の中に入るとなかなか難しく、苛烈な競争でもあり、そこには男達の欲が入ってくる。銀四郎には、“そんな夢物語みたいなもんじゃないんだ”“才能があったらうまく発展させてお金を稼ぐんだ”という商売人としての生き方がある。
服飾の世界にしたって商売の世界なんだから何をあまっちょろいことを言っているんだ、というところに、ファッション業界草創期、初代の女性が登場したということでしょう。