君が心をくれたから

2024年1月8日 成人の日 スタート 毎週月曜よる9時 放送

インタビュー

本作の出演を決めた時の心境を教えてください。

「最近、“日常で感じることや自分の心を大事にしなくてはいけない”と思い始めていました。仕事を続ける上で、ありがたいことに要求されることが増えてきました。全部がうそではないんですが、皆さんが理想とする山田裕貴像ばかりが一人歩きしていて、僕はそれに合わせて仕事をしているという感覚が大きくなってしまって。本当の自分は静かな方だと思っていますし(笑)。 “表面的に相手を決めつけるのではなく、裏に何かを抱えているのではないか?”と、思いやる心を養える作品があって欲しいとすごく思っていたんです。『君が心をくれたから』も、そういう作品になると思いました。別に世界を変えたいわけではなく、このドラマを見て、優しい心を持った人が少しでも増えたり、温かい人の輪のようなものが広がっていったら良いと思っています。僕は『君が心をくれたから』はラブストーリーではあるけど、よりヒューマンな、心のドラマだと思って演じています。だからこそ、“このドラマなら高校の制服を着ても良いかな?”と思いました(笑)」

舞台となる長崎ロケはいかがでしたか?

「みっちりと撮影していたので、なかなか観光はできませんでした。でも今回は、(役名が)雨と太陽なので、夕陽や朝日、雨が降っていたり、晴れていたりする空が大事で、セリフにもつながるような、細かな画を狙うシーンの撮影が多かった事は印象的でした。芽郁ちゃんと2人で、“こんなに役に入り込めるんだ”と思うくらい、台本に「涙を流す」と書かれていないところで涙を流したりしたシーンもたくさんあります。台本以上のものが生まれていたので、すごく真摯に集中して撮影に取り組めました。それは、長崎の景色がそうさせてくれた部分もあると思います。ロケでセリフをやりとりしていると、役が生きている感じがすると思えたのでありがたかったです。また、エキストラの方もたくさん集まってくださり、映画のような大規模な撮影が出来たことにも感謝しています」

太陽を演じていて、いかがでしょう?

「台本があるので、太陽という人物の設計図はあります。でも、台本には細かい表情までは描かれていません。雨はいろいろなものを失っていくのですが、太陽はそれに気づかないシーンもあります。ドラマを見ていて“気づけよ太陽”と思う方もいるかもしれません。でも、そう思わせない、そんな太陽の表情を演じたいんです。心を奪われる雨を演じている芽郁ちゃんは、これからどんどんテクニカルな芝居が増えていきます。それに対して僕がどういう存在でいなければいけないかというと、太陽が全ての人に絶対的に良い人と思っていただけないといけないと思っています。そうでないと、“気づけよ太陽”になってしまって、この物語が終わってしまうのではないかと。ですので、どんな一瞬の表情、声色も嫌われてはいけないと思うんです。僕の人間力が試されているとも感じます。お芝居というよりも、僕自身がどれだけ良い人でいられるかのような。太陽は明るく真っ直ぐに演じるだけで成立してしまう役ですが、それだけだととても薄っぺらくなってしまいます。太陽の本質を演じないと成立しないと考えているので、それを表現するのは難しいのですが、難しいからこそ自分の心で太陽を演じなくてはいけないんです」

雨は、愛する太陽のために心を差し出します。山田さんなら?

「そういう人がいれば、僕もスッと差し出してしまうと思います。未練も後悔も感じる事はないですね」

改めて、本作の見どころをお願いします。

「第1話で、雨が心を差し出す=五感を差し出す、それは太陽のためだったということがわかりました。だけど、人は愛する人だけではなくて、友だちや親もいる。人同士の難しい関係は恋愛だけではなく、周囲の人との間にもあります。“なぜこういう人間になったのか?”、“何が生きる原動力になっているのか?”それは雨と太陽だけではなくて、たくさんの人との関わりの中にあるんです。雨は母親に暴力をふるわれていたことがあって、自分を出すことが出来なくて、暗い高校生活になってしまったとか。この作品はキュンキュンなラブストーリーではないので、もちろんそういう要素もありますが、後半になるにつれて家族の要素が多くなっていきます。雨のような人に対して、見守る家族、友人、恋人などはどう接したら良いのか、悲しい出来事に遭ってしまった人たちに対して自分たちは何が出来るのか、優しさとは何なのか。いろいろなことを考えながらご覧いただける作品です」