稲生知性:じろう(シソンヌ)
都内にある古いビルの中に、「稲生心療内科」という古びた看板が掲げられた診療所がある。診療所の主の名は稲生知性(いなお・ちせい)。医師免許を持った立派な心療内科医だが、稲生の元に訪れるのは、原因不明な身体の不調に悩む患者たち。そんな患者を連れてくるのは、稲生の医学部時代の同期で精神科医の中岡俊子。中岡は、自らが経営する心療内科クリニックに訪れる患者の中で、自分の手には負えない患者を稲生の元へ案内するのだ。
稲生は人とは違う能力を持っている。それは「患者に取り憑いた怨霊が見え、会話ができる」というもの。稲生が患者を診察するとすぐそこに怨霊の姿が現れる。身体の不調は怨霊がその患者に取り憑き、霊障を起こしていたことが原因だった。“心霊内科医”である稲生知性の診察方法は、人間と怨霊、両方に対する徹底的な問診である。なぜ取り憑いたのか?または、なぜ取り憑かれたのか?原因は人間、または怨霊どちらかにある。怨霊が取り憑くには、必ず理由がある。しかし問題なのは、人間も怨霊も、本当のことを言っているとは限らないことだ。怨霊はこの患者に殺されたと訴える。しかし患者に聞くと殺してなどいないと無実を訴える。嘘を吐いているのは人間か?それとも怨霊か?まるで刑事か探偵か弁護士のように患者と怨霊、双方の言い分を聞いて、どちらが嘘を吐いているのか暴き、真相を突き止めていく! 稲生と患者、そして怨霊の心理戦が始まる…!
高校生の清水潤一(城桧吏)は、数カ月前から、身体に異変が起こっていたため母親・和子(明星真由美)と稲生のクリニックを訪れる。稲生が診察したところ、潤一の腰のあたりには若い女がしがみついていた。女は額から血を流し、薄汚れ、眼だけが爛々(らんらん)と輝いていた。それは、潤一に取り憑いた怨霊だった。潤一の身体に起きた異変は、この怨霊のせいだったのだ。怨霊は「私は、潤一君のことが好きで、一度告白した。でも、その後ひどい目にあわされ…私は、学校の屋上から飛び降りて、自殺しました。私は、この男を、決して許しません」と話す。しかし潤一は、自分はそんなことはしていない、と否定。果たして、嘘(うそ)を吐いているのは、人間か、怨霊か?稲生が診察を進めると驚がくの展開に――。
会社員・一ノ瀬美咲(松本妃代)には、かつて親友だった三島麻衣(松村沙友理)の怨霊に取り憑かれていた。麻衣は首をつって自殺したと思われていたが、自殺は真犯人である美咲の偽装工作で、自分は美咲に首を絞められ殺されたのだと、麻衣の怨霊は主張する。しかし、美咲は「自分は殺していない」と反論する。すると、麻衣の怨霊は「美咲が好きだった山本芳樹(近藤雄介)と私が付き合ったから、横取りしたと逆恨みしたに違いない」と、問い詰めた。しかし、美咲は「山本のことは全く好きではなかった」と否定。人間と怨霊の言い分はかけ離れ、平行線のまま。稲生知性(じろう)は診察を続けることを決め、助手の髙橋(中村鶴松)が調査をすることになった。調査を進めると、とある未解決の凶悪殺人事件に行き当たり…果たして、嘘を吐いているのは、人間か、怨霊か――。
不動産会社の営業マン・武田(岡野陽一)には妻と小学生の娘がいるが、最近、妙に事故に見舞われることが多く、腕は階段から落ちて骨折、頭は、突然、壁に飾ってあった絵が落ちてきて負傷。さらに自宅で、女性の幽霊を何度か目にしたという。そんな怪異が続き、神経が参ってしまった武田が、中岡の心療内科クリニックを訪れると、霊障ではないかと疑った中岡は、武田を稲生の元へ連れていく。稲生が診察を始めると、武田の背後に女子高生の怨霊が出現した。しかし女子高生の怨霊はうなり声をあげるだけで話さない。「君は誰だ?」稲生は何度か語り掛けるが、女子高生の怨霊は背後から武田を睨(にら)みつけるだけであった。
稲生は武田に、女子高生の怨霊が取り憑いていると話した。しかし武田は恨まれる理由は全く分からない、そもそも女子高生に知り合いはいないと言い切る。結局、怨霊の正体も、祟(たた)る理由も全く分からないまま、1回目の診察は終わった。稲生は助手の髙橋に命じて武田の周辺と過去を調査させた。すると、怨霊の女子高生は1年前に行方不明になった黒沢雪美(くろさわ・ゆきみ)で、怨霊と同じ顔の写真が、失踪者情報のサイトで見つかった。そして髙橋はさらに重要な事実を見つけ出してきた。その当時、患者の武田は、黒沢の担任教師だったのである。武田は、黒沢のことはおろか、教師をしていた過去すら明らかにしてはいなかった。武田は教え子だった黒沢を殺したのか?怨霊と人間の心理戦が始まる。
平山(大東駿介)は妻に付き添われながら稲生知性(じろう)のクリニックを訪れる。平山は妻・眞砂子(まさこ)と二人暮らしだったが、1年前、部下の田辺葵(たなべ・あおい)と不倫関係に陥った。ほどなくして関係は眞砂子の知るところとなり、泥沼の愛憎劇が勃発した。愛人・葵の電話番号とメールアドレスを夫のスマホから手に入れた眞砂子は、昼夜問わず、執拗(しつよう)に葵を責め立てた。ひどい言葉を書き連ねたメールを何十通も送り付け、聞くに堪えない金切り声を留守番電話に吹き込み続けた。そして、眞砂子が葵を攻撃し始めてから半年後、葵は精神のバランスを崩して、自殺した。すると、妻・眞砂子、そして平山の身体に異常が起き始めたのだった。
稲生は目を瞑(つむ)り、精神を集中すると、目を開けた。すると、平山に取り憑いた女の怨霊の姿を稲生の目が捉えた。怨霊は、水に濡れて乱れた髪の隙間から、双眸(そうぼう)を不気味に爛々(らんらん)と輝かせ、平山の背後に立っていた。怨霊は、平山の不倫相手・田辺葵だと名乗る。稲生は怨霊になぜ平山に取り憑いたか尋ねる。しかし、葵の怨霊は意外なことを口にした。「私は自殺したんじゃない!この男に殺された!!」平山は激しく首を振って否定した。「僕は殺していない!彼女は自殺したんだ!」しかし怨霊は叫ぶ。「嘘(うそ)を吐くな!」 果たして、嘘を吐いているのは人間か、それとも、怨霊か。診察が進むにつれ怨霊の意外な「正体」が判明、さらに稲生のクリニックの「闇」も明らかになる――。
稲生知性 … じろう(シソンヌ)
中岡俊子 … 伊勢佳世
小池志摩子 … 平田敦子
高橋守 … 中村鶴松
他
【第1夜ゲスト】
城 桧吏
明星真由美
椿 奈央
安藤美優
【第2夜ゲスト】
松本妃代
松村沙友理
近藤雄介
【第3夜ゲスト】
岡野陽一
仲吉玲亜
【第4夜ゲスト】
大東駿介
林 加奈子
染谷有香
<主題歌>
「フレンドリー」サカナクション(ビクターエンタテインメント)
最新リリース作品:LIVE Blu-ray/DVD『SAKANAQUARIUM アダプト ONLINE』
(2023/02/22 release)
<音楽>
戸田有里子
<企画・演出>
松木創(共同テレビ)
<脚本>
池田テツヒロ、松木創(共同テレビ)
<プロデュース>
安永英樹(フジテレビ)
<プロデューサー>
斎藤理恵子(共同テレビ)