
- 今回の企画を聞いたときの印象からお願いします。
- 最初にお話を伺ったときに、「法曹界の話だけど、ただお堅いだけのものにはしたくない」と伺って…。風変わりな入間(竹野内豊)さんと、すごくストレートで真面目な坂間が出会ったことから始まる人間ドラマであり、坂間の成長譚でもあると思いました。この作品に携わるまで裁判官というお仕事を詳しくは知らなかったので、それを深く掘り下げていく展開も面白いな、と思いました。
- 確かに、裁判官は、テレビのニュースで見ても、並んでいる画を見るくらいですから。
- そうですね。「判決を述べる人」というイメージだったので、事件の背景を知るために自ら動くことがある、ということ自体がとても興味深かったです。
- リーガルドラマというと、『リーガル・ハイ』にもご出演されていましたが……。
- 『リーガル・ハイ』の時は弁護士役でしたね。懐かしいです(笑)。
- 坂間というキャラクターを演じるにあたって、特に意識された点は?制作サイドとディスカッションする中で何かリクエストはありましたか?
- お互いに共通意識として持っていたのは、ただ堅物なだけじゃない、ということですね。監督も、「もっと人間性を出していきたい」とおっしゃってくださって。坂間は坂間なりに信念と正義感をもって、正しい結論を出したいと思っているだけで、その過程では悩んだりもするし、揺れたりもするわけです。そういう、人間の心の揺れや動きをきちんと坂間にも持っていてもらいたいというお話でしたので、そこは気を付けながら演じたつもりです。
- そういう表現はなかなか難しい感じがします。
- はい。でも、その方が面白いですよね。それに、入間さんと関わっていると、自然と出てくるものだったりもします。

- 入間と坂間、どちらが言っていることも正しかったりするわけですしね。
- そうなんです。どちらも正義感を持っていて、「その人たちのために、きちんと正しい判決を下したい」という思いは変わらないんです。ただ、その方法が違うというだけで。入間さんの刺激を次第に受けていく坂間、というのも演じていて面白かったですね。
- 原作漫画では坂間は男性ですが……。
- ドラマ化するにあたって、男性から女性に変わっている時点で、もう大きな変化だと思うんです。私も原作を読ませていただき、凄く面白かったので、原作に思い入れがある方は、「なんだ!?」と思われる方もいるかもしれませんが、そこは別物として楽しんでいただけるように、精一杯演じました。
- 今回,髪も短めですが、この役に合わせて変えたんですよね?
- はい。今回はこういう髪型の方がいいかなと思って、スタッフさんと相談して変えました。
- みちお役の竹野内豊さんと実際にお芝居をされてみての印象は?
- 本当にピュアな方といいますか、物腰が柔らかくて、「とても優しい方だな」というのが第一印象でした。行動や考えていることが読めない入間というキャラクターとシンクロする瞬間もあって、最初は、竹野内さんがそういう部分を意識されているのか、自然とできてしまうのかもわからなくて(笑)。ひらりと交わされてしまうあの感じを、お芝居の中でもよく感じるんです。

- コロナの影響もあって、撮影方法も変わりましたし、現場での過ごし方も変わったと思いますが、そういう部分にも慣れましたか?
- 制限がある中でも、できうる限り、面白いものを作りたいという気持ちは余計に強くなりました。一致団結じゃないですが、「見てくださる人たちのために」という思いもより強くなっているような気がします。
- 駒沢部長役の小日向文世さんたちにもお話を伺ったんですけど、キャストやスタッフで食事に行ったり飲みに行ったりして、コミュニケーションを高めて、みたいなことも難しくなってしまっていることを残念がっていました。
- 確かに、ご飯に行ってみんなで話すという時間はなくなりましたが、私は以前より、現場でコミュニケーションを取るようになったような気がします。このチームは、お芝居が上手な方ばかりなので刺激にもなるんです。特に、小日向さんの存在は、私の癒やしで(笑)。何本かご一緒させていただいていますが、あれだけたくさんいろんな作品に出ていらっしゃる方なので、お芝居のことだけでなく、現場でのコミュニケーションなども含めて本当に勉強になります。
- 坂間は、心の声もあり、視聴者のみなさんへの説明的な部分はもちろん、入間へのつっこみ的な役割もありますし、方言のシーンもあります。要求されるものが多いですね。
- 「方言もあるんだ!?」って、ビックリしました(笑)。ロジックの速射砲と表現されるように、結構早口でしゃべったりするセリフも多いですし。ただ、やるからには視聴者の皆さんはもちろん、スタッフさんや一緒にやっている演者さんにも「面白い!」と思ってもらえるのが楽しくて。私自身も、いろいろな側面がある方が面白いと思うタイプなので、そこは楽しんでやれたと思います。

- この先も、みちには振り回されていきますが……。
- 楽しいですよね。人って、何考えているかわからないじゃないですか。「何やってんだ、この人?」と思っている中に、核心的なことがあったりする。それに気づく瞬間って、すごくロマンティックだし、「ああ、変わっていく……」と感じるところも楽しいです。人から影響を受けることって、まさにそういうことだと思うんです。
- 最後に視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。
- 凄く魅力的な人間ドラマだと思います。その中で、入間さんと坂間千鶴のやり合いや、坂間が成長していく姿を楽しんでみていただけたらいいなと思います。ゲストも豪華です!
- そういえば、第1話で、坂間さんがストレス解消にお肉を大量に食べるシーンがありましたが、黒木さんのストレス解消法は?
- 私も食べることが大好きです。おいしいものを食べれば大抵のことはどうでもよくなりますね(笑)。