インタビュー

『嵐の日の通報』斎藤工さんインタビュー
ホラー作品はお好きですか?
好きというか、興味はあります。怖い物見たさというか。僕は映画が好きで、いつも一人で見ることが多いんですけど、いつも後悔してしまいます。日本のホラー、中でも鶴田さんの作品は湿度が高め。トイレに行くのが怖くなるというか。文化的な違いによるものだと思うんですけど、ハリウッドにはない感じがします。見終わった後、余韻が残りすぎてしまう…。よくも悪くも、こういう作品を夏休みにみんなで、子どもたちをはじめ、その周りにいる大人たちも、意識を向けてしまうということは、それだけ求心力があるということだし、すごく興味深いな、と思っています。
ホラーにもいろいろなジャンルがあるかと思いますが、どういったものがお好きですか?
ホラーってとても多様なジャンルで、ホラーに入れて良いのかわからないですけど、サスペンスが好きです。父がヒッチコックのマニアで、僕自身、今日も「The Bird」っていう鳥のTシャツで来たくらいヒッチコックの作品は好きです。自分も映画製作に携わったりするんですけど、サスペンスって、お金がかからないんです(笑)。内面的なことなので。サスペンス性があるということは、アイディア次第でものを作れる、ということで、「サスペンス性」というのは、ものを作る上でのキーワードのような気がしていて。ものを作るようになってからさらに興味が出てきました。「見たくないけど、見てしまう」引力をすごく感じますね。
『ほん怖』へのご出演が決まった際のご感想を教えて下さい。
『ほん怖』という作品は、子どもたちの、夏の終わりごろの一つの思い出になる作品だと思うんです。集まって見るもよし、一人で見るもよし。それぞれの楽しみ方があっていいと思うんですけど、みんなで共有できる夏の思い出のような気がしていて、「あした、『ほんこわ』がある!」って言って、みんなが楽しみにしている作品だと思うので、『ほん怖』への出演が決まった時は、「うれしい」というか、「役割を全うしたいな」と思いました。
最初に台本を読まれた時はどう思われましたか。
最初風呂場で読んだんですけど、本当に恐ろしかったです。電話が急に鳴り出すんじゃないか、と思ったりして。家に固定電話もないのに。(携帯)電話が鳴るたびに、『ほん怖』のストーリーがよぎってしまったり。設定は、警察っていう特殊な職業の中での話ではあるんですけど、現実にあり得そうなシチュエーションが多くて、しかも、ちょうど台本を読んでいるときに、外の天気が荒れていたりもしていたので、それも重なって、現実とフィクションの境目がわからなくなるような感じがしました。見た人も同じような感覚になってくれたらいいな、と思います。鳴らないんですけど、電話の音が聞こえてくるんじゃないかと思ったり。
ご自身に恐怖体験や心霊体験はありますか?
幼少期に、すごくいろんなものが見えていたみたいで。母親が言うには、「玄関にいつも男の人が立っている」と話していたらしいです。それをスケッチしたらしいんですけど、顔中穴だらけの人を具体的にデッサンして、母に「いつもこの人、ここに立ってるよ」って母親に見せたりとかして。怖いですよね。純真無垢(むく)なころには、いろんな感覚のブレーキがかかっていないので、見えるものはあるのかな、と思います。今は全然見えないですけど。
あと、霊的なこと、と言っていいかわからないですけど、美輪明宏さんから電話を頂いたことがあったんですけど、初めてお会いしたときに番号を交換していなくて、なのに電話を頂いて、「なんで番号知ってるんだろう」って(笑)。不思議な体験ですよね。霊じゃないですけど、不可思議な体験です。でも安心もしていて、いざとなったときには美輪明宏さんに相談しようと思っています。
斎藤さんにとって、「ほん怖」なものは?
昆虫の内側ですかね。足がいっぱいある昆虫の、腹側の部分。去年『昼顔』で生物の先生役をやって、ほぼ虫との共演だったんです。標本とかがあって、「ヨツボシモンシデムシ」っていう激臭を放つ虫について語ったりするんですけど、その虫の放つ腐敗臭というか、くさい匂いが、手について、1週間とれなかったんです。
視聴者の皆さんにメッセ―ジをお願いします。
『ほん怖』という、夏の風物詩のひとつとして放送を楽しみに待っている人がいる作品の中のラインナップに入れていただいたのだから、どのストーリーも、お互い切磋琢磨していけたらいいな、と思っています。その中でも一番怖いというか、印象的だったと思われたい。ただただ怖かった、というだけでなく、何か見た人に何か残るものがあればいいなと思っているので、楽しんで、怖がって見ていただけたらうれしいです。
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