高校3年の夏休みが明けて間もないころ、ちょっとした事故で足を骨折してしまった詩織(松浦)は、しばらくの間、学校を休むことになった。父は単身赴任中、母親の佐枝子(市毛)は仕事があるため、詩織は、ひとりで留守番をしていた。そのとき、微かにインターホンの音を聞いた詩織が、窓の外に目をやると、斜め前の家の玄関先に、赤いコートに身を包んだ黒い髪の女性が立っていた。
あくる日、詩織は、再びインターホンの音を耳にする。窓の外を見ると、昨日とは別の家の前に、あの女性が立っていた。その女性は、何度も何度もインターホンを鳴らしているようだった。が、その音に苛立った詩織が窓を開けると、すでにそこには女性の姿はなく…。
いまから数年前のこと、東京に出てきたばかりの青木は、現在、東京ダイナマイトとして活躍している松田とコンビを組んでいた。部屋を探していた青木は、不動産屋の牧村(モロ)からある物件を紹介され、松田とともにその部屋を見に行く。その部屋には歯科技師が住んでいたが、家具や調度品を残したまま、突然、行方をくらましてしまったのだという。賃の安さにひかれた青木は、松田の警告にも耳を貸さずに、その部屋を借りることにするが…。