ある大学病院に勤務する看護師・千賀(真木)が深夜のナースセンターで看護日誌をつけていると、新人看護師の澪(水橋)が慌てた様子で駆け込んできた。カンファレンスルームから、金属が当たるような奇妙な音が聞こえてきたのだという。が、澪とともにカンファレンスルームに向かった千賀が部屋のドアを開けると、誰もいない部屋で、扇風機が回っているだけだった。
数時間後、千賀が、休憩室でひと休みしようとしていると、かすかに金属の触れ合うような音が聞こえてきた。音は、カンファレンスルームから聞こえてくるようだった。千賀が思い切ってドアを開けると、また扇風機が回っていた。千賀がスイッチを切ろうとするとその瞬間、背後で金属音がした。千賀が恐る恐る振り返ると、先ほどまで誰もいなかった場所で、昔の白衣を着たふたりの看護師が、黙々と注射の準備をしていた。千賀たちが耳にしていた金属音は、注射器を容器に置く音だった。慌ててゴミ箱を倒してしまった千賀がそれを元に戻してゆっくりと顔を上げると、ふたりの看護師は千賀の目前に迫っていた。そして、彼女をにらみながら「邪魔するな!」と言い…。
やがて千賀は、主任の村上(大草)から、この病院が戦前は結核病院だったことを聞く。患者からの感染で亡くなった看護師もたくさんいたのだという。
千咲(上原)は、都会の高校に進学すると同時に、下宿生活を始めた。そこは、近くに救急病院があるために、頻繁に救急車のサイレンの音が聞こえてくる場所だった。部屋に案内された千咲は、病院着のようなものを身につけた老人が室内を横切る姿を目撃する。が、部屋に入ると誰もいなかった。
その夜、なかなか寝付けなかった千咲は、壁をたたく小さな音に気づく。が、ドアを開けてもそこには誰もいない。そんな千咲の背後を血塗れたワイシャツを着たサラリーマンが通り過ぎたが、気配を感じて振り向いてもすでに姿はなかった。ところが、千咲がドアを閉めると、すぐさま壁を叩く音が…。その時千咲は、壁を叩いているのは、外ではなく室内だと感じるが…。
あくる日、千咲は、1週間前に引っ越してきた先輩に話を聞いた。するとその先輩は、千咲が引っ越してくる前のまだ誰もいないはずの部屋で、上半身を包帯で巻かれた子どもの姿を見たのだという。
夜、ベッドに入った千咲は、目の前を横切るいくつもの足を目撃し、恐怖に震える。外では救急車のサイレンが響いていた。その音が遠ざかると、足の列が途絶えた。が、ほっとして寝返りを打つと、そこには頭に血のにじんだ包帯を巻いている老婆の姿があり…。
フライトアテンダントの真希(小野)にとって深雪(久遠)は、憧れであり頼れる先輩だった。が、スタッフが退職してしまったこともあって、休みなく働き続けている深雪のことを心配していた。そんなある夜、なかなか寝付けなかった真希は、霧がかかった窓の外で老婆(森)の姿を目撃する。その老婆は、「みゆき…熱いお茶と…おはぎ」と言うと姿を消した。
あくる日、真希からその話を聞かされた深雪は驚く。おはぎが好きだったことも、真希から聞いた外見も、深雪の祖母そっくりだったのだ。
多忙のため、最近お墓参りに行っていないことを思い出した深雪は、何年かぶりに有給をとってお墓参りに行った。真希は、深雪の祖母が、たまには休むよう彼女に伝えたかったのではないか、と確信していた。