恵理子(黒木)は、17歳のとき、大学生の聡(近田)と交際をしていた。が、何かにつけて聡に子ども扱いされるため、ケンカが絶えなかった。
ある日、恵理子は、学校にもいかずに不良仲間と遊んでいることを聡に注意される。恵理子は、そんな聡に反発し、いつもタバコを吸っている彼からライターとタバコを奪うと、そのまま席を立ってしまう。そしてその日以来、恵理子は聡を避けるようになっていく。
そんな折、仲間とカラオケボックスで騒いでいた恵理子は、カバンの中に入れたままになっていた聡のタバコとライターに気づく。何故か聡に会いたくなった恵理子は、仲間と別れ、彼の家へと向かった。
恵理子が土手を歩いていると、背後で靴音がした。不安に駆られながら振り向くと、そこに立っていたのは聡だった。緊張が解け、ホッとする恵理子。しかし、恵理子がタバコとライターを聡に返そうとすると、それは彼の手を通り抜けて地面に落ちた。すると聡は、表情のない顔で、「幸せになれよ。もうあんな連中と遊ぶなよ」というと、その場から姿を消してしまう。
嫌な予感がした恵理子は、家に電話を入れ、そこで聡が3日前に事故に遭っていたことを知る。聡は、ずっと恵理子に会いたがっていたのだという。恵理子は病院に駆けつけるが、すでに彼はこの世を去っていた。
数年後、恵理子は、聡の墓前に結婚することを報告する。その手には、聡のライターが握られていた。
真梨子(松本)は、強い霊感を持ち、見えるはずのないものが見えてしまうことがあった。ファミレスでアルバイトをしていた真梨子は、そこでありさ(佐々木)という少女と出会う。彼女は、母親と一緒に来たのだという。それから数日後、真梨子は、新しく店で働くことになったという主婦・祐子(長野)から髪留めを借り、店に出た。すると、ありさが真梨子の制服をひっぱり、「それはお母さんの…返して!返して!」と泣き叫んだ。真梨子が祐子に髪留めを返し、その出来事を告げると 祐子の顔色が変わった。祐子には、ふたりの娘がいたが、次女は幼いころに病気でなくなっていたのだ。その髪留めは、以前、祐子がよくつけていたものだった。
仕事を終えた真梨子は、帰路に着く祐子を見送った。するとそこに、彼女の後を追いかけるありさの姿もあった。真梨子は、そんなふたりの姿をいつまでも見つめていた。
直人(斎藤)は、小さなラーメン店を切り盛りする母・夏美(河合)とふたり暮し。2歳のときに父・光彦(神保)を亡くした直人には父の記憶がほとんどなかった。店の奥にある狭い部屋には、幼い直人を抱く光彦と夫に寄り添う夏美の写真が、幸せだったころの唯一の思い出であるかのように飾られていた。
クリスマスイブの日、厨房に立っていた夏美は、懐かしい匂いに気づく。そのとき、背後に何かの気配があったが、夏美が振り向くとそれは消えていた。
その夜、布団に入った直人は、部屋の隅に見知らぬ男が立っていることに気づく。その顔は、暗闇にまぎれてよくわからなかったが、ゆっくりとこちらに近づいていた。5つ数えれば消える、と思い、目をつぶって数を数える直人。しかし、男はそのまま直人の目と鼻の先まで近づいていた。するとその男は、恐怖に震えている直人の頭を優しく撫ぜると、そのまま姿を消した。
あくる朝、直人は、サンタさんからプレゼントがきた、と夏美に報告した。直人が手にしている包みは、夏美がこっそり置いたものだった。が、仕事をしながら直人の出来事を聞いていた夏美は、彼の言葉に手を止めた。直人は、懐かしい匂いを嗅いだというのだ。それは、光彦がよく吸っていたタバコの匂いだった。夏美は、涙ぐみながら、そのことを直人に話した。
この出来事がきっかけになり、夏美は一層仕事に精を出した。そして直人も、父親に見守られていることを信じて、勉強や野球に打ち込み…。