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第2シーズン #07

鏡の中の少女
鏡の中の少女
  • 脚本・演出:三宅隆太
  • 出演:小池栞 … 小出早織
  • 浜口加奈 … 向野澪
  • 鏡の中の少女 … 室伏由紀江

バスケットボールの試合で市の体育館を訪れた栞(小出)は、その女子トイレで奇妙な体験をした。栞と加奈(向野)が鏡の前で身だしなみを整えていると、鏡越しに、見慣れない制服を着た少女(室伏)が背後を横切るのが見えた。が、その少女は、個室ではなく、奥の用具置き場に入ってしまう。うっかり間違えたんだ、と思い、思わず振り返る栞。ところが、栞が鏡の方に向き直ると、用具置き場の扉がわずかに開き、先ほどの少女が栞を見つめていた。栞は、その少女が恥ずかしくて出るに出られなくなっていると思い、トイレを出ようと加奈を促した。すると加奈は、誰も入ってきていない、と不思議そうな顔を見せる。栞は、用具置き場の前まで行き、わずかに開いているドアを一気に開けたが、中には誰もおらず…。

拒絶の報酬
拒絶の報酬
  • 脚本:玉城悟
  • 演出:加藤裕将
  • 出演:川奈はるみ(27) … 中越典子
  • 藤森幸雄(42)  … 佐藤二朗

いまから5年ほど前のこと、写真が趣味だったOL・はるみ(中越)は、休日を利用してとある旧跡を訪ねた。そこではるみは、古い日本建築の勉強をしているという大工・藤森(佐藤)に道を訪ねられ、親切心から彼を案内する。
それから数日後、はるみの会社に、藤森から電話が入った。はるみは、藤森と名刺の交換をしていたのだ。あの時の礼がしたい、という藤森に困惑したはるみは、彼の申し出を体よく断った。が、それから数日後、藤森は会社の前までやってくる。恐怖心を感じたはるみは、こういうことは迷惑だ、ときっぱりと告げた。
そんなある夜、寝苦しさで目を覚ましたはるみは、枕元に立つ大きな人影に気づく。それは藤森だった。その顔は穏やかな微笑みをたたえていたが、次の瞬間、それが不気味に歪み…。
あくる日、はるみは、彼が自殺でもして、その霊が自分のところにやってきたのではないか、と思い、藤森の会社に電話を入れた。すると、彼は生きているようだった。やがて、藤森が電話口に出た。が、そのときはるみは、信じられないものを目にする。オフィスの窓から見えるビルの一角に、穏やかな微笑をたたえた藤森が立ち、こちらを見ていたのだ。

別荘ニテ待ツモノ
別荘ニテ待ツモノ
  • 脚本:清水達也
  • 演出:鶴田法男
  • 出演:有元克志(26) … 永井大
  • 川浦さやか(24) … 浅井江理名
  • 鈴木亮一(26) … 田辺伸之助
  • 増田夕子(36) … 山下容莉枝

克志(永井)は、毎晩同じ夢に悩まされていた。古い木造の建物、4時前で止まった振り子時計、その建物の近くにある池、そして白いワンピースの少女――克志からその話を聞かされていた恋人のさやか(浅井)も、彼と電話で話している時、電話口で時計のような音や、女性の悲鳴を聞いており、克志の身に何か起こるのではないか、と不安を抱いていた。
さやかや友人たちと旅行に行く予定だった克志は、さやかの先輩で、強い霊感を持っている夕子(山下)に相談を持ちかけた。すでに克志は、旅行をやめるつもりで友人の亮一(田辺)の家に断りに行っていた。すると亮一は、ついさっきお前が来て必ず行くと言っていたのに、と不思議がっていたのだという。克志たちの話を聞いていた夕子は、旅行には行ったほうがいい、と助言する。その女性は、克志に何かを訴えたいのではないか、というのだ。が、さやかが同行を申し出ると、夕子はそれを止めた。
数日後、克志は、亮一たちと旅行に出発した。亮一たち男性陣は事情を知っていたが、同行したふたりの女性には克志のことは何も話していなかった。別荘に到着すると、それは克志の夢に出てきた建物と同じだった。さらに、室内には振り子時計があり、建物の裏手には池が…。克志たちは、恐怖心を抑えきれなかった。
その夜、克志たちは、深夜4時になるのを待っていた。そして時計の針が4時になろうとするとき、克志は、大部屋の入り口に白いワンピースを着た女が立っているのを目撃する。その女は、克志を手招きしていた。克志は、これ以上仲間を巻き込んではいけない、と思い、眠ってしまっている亮一たちを起こさずに、ひとりで彼女の後ろをついていく。
女の後をついていった克志は、建物を出て、あの池の前で足を止めた。女は、池の前に立ちつくし、克志を手招きしていた。その誘いに魅入られたようにゆっくりと女に近づく克志。そのとき、突然克志の携帯電話が鳴った。その音で我に返った克志が電話に出ると、さやかからだった。「先輩が、すぐそこから離れてって!」。克志は、興奮しながら叫ぶさやかの言葉の意味がわからなかった。が、何気なく足元に目をやると、克志は、いつの間にか池の中に入っており、下半身が水に浸かっていた。そして、白いワンピースの女が、水の中で蠢いていた。克志は、叫び声をあげ、慌てて岸に向かうが、思うように進めず、転倒してしまう。すると、すぐ後ろに女が…。
同じころ、別荘では、3時59分で止まっていた振り子時計が動き始め、4時を告げた。その音で目を覚ました亮一たちは、克志がいないことに気づく。 別の日、克志は、さやかと夕子に会っていた。克志の胸には、爪で引っかいたような跡が残っていた…。

憑かれた病院
憑かれた病院
  • 脚本:玉城悟
  • 演出:三宅隆太
  • 出演:佐野美也子(25) … 井上和香
  • 上野繁子(54) … 松本じゅん
  • 相田サチエ(72) … 安田洋子
  • 今井亮子(23) … 藁科みき
  • 黒ずんだ女 … 石井聡子
  • 黒ずんだ男の子 … 大久保蒼

看護師・美也子(井上)が勤務する病院は、心霊現象に関するウワサがあとをたたなかった。あるとき美也子は、廊下の床に、黒いシミのようなものがあることに気づくが、さほど気にも留めなかった。
そんなある夜、美也子が担当してた患者のひとり、サチエ(安田)の容態が急変し、ほどなく息を引き取る。それから数日後、美也子は、外来入り口の自動ドアの外に、若い母親らしき女性と、彼女の腰に顔を押し付けるようにして立っている男の子の姿を見かける。が、自動ドアが反応しないのか、ドアは閉じたままだった。美也子が自動ドアの前まで歩み寄り、センサーを見上げると、ドアが開いた。が、すでにそこには親子の姿はなかった。
さらに数日後、美也子は、患者の繁子(松本)から、サチエの姿を見たという話を聞かされる。サチエは、怖い顔で繁子のことをじっと見つめているのだという。その夜、美也子が仕事をしてると、繁子のいる病室からナースコールが入った。美也子が駆けつけると、繁子は両手で首をかきむしるようにして苦しんでいた。繁子は、医師を呼びに行こうとする美也子の腕を掴み、声を振り絞るようにして「相田さんが…」と言うと、断末魔のごとき悲鳴を上げた。その後、繁子は、別の病院に移されたが、すぐに息を引き取ったという。しかし、何故か詳しい死因は明かされなかった。
別の日、美也子は、黒い影のように広がった床のシミを落とそうと、タワシでこすった。が、そのシミは、まったく落ちなかった。諦めて手を止めた美也子は、外来入り口のドアからぼんやりと外を眺めた。そのとき、背後の薄暗いロビーを、いつかの親子がよぎった。気配に気づき、振り返る美也子。しかし、もう親子の姿はなかった。
まもなく美也子は看護師を辞め、郷里に帰って結婚した。が、あの病院では、同僚や患者に不幸な出来事が続いたという。

温かいお葬式
温かいお葬式
  • 脚本:林民夫
  • 演出:星野和成
  • 出演:春山和枝(39) … 手塚理美
  • 春山浩史(39) … おかやまはじめ
  • 春山友子(34) … 白川ゆり
  • 中年の女性 … 三谷侑未
  • 中年の男性 … 牧村泉三郎
  • 春山房江(86) … 二宮弘子

和枝(手塚)は、夫・浩史(おかやま)の祖母である房江(二宮)の葬儀に参列した。早くに両親を亡くした浩史と、浩史の妹の友子(白川)にとって、房江は親のような存在だった。和枝が、悲しみにくれる浩史と友子をふたりだけにしておこうと居間を出ると、見知らぬ中年の女性(三谷)に手招きされた。和枝が奥の部屋に入ると、そこには喪服ではない着物を着た女性と、中年の男性(牧村)が立っていた。和枝は、ふたりからあいさつされ、浩史のことをよろしく頼む、と言われるが、それが誰なのかわからなかった。
そんななか葬儀が始まった。すると、涙を流して悲しむ友子の手に、そっと手が置かれた。それは、先ほど和枝が出会った中年の男女だった。祭壇に背を向ける彼らの姿は明らかにおかしかったが、他の参列者は、まったく気にしていないようすだ。するともうひとり、白装束の老婆が現れ、友子の肩に手をかけた。それは房江だった。そのとき和枝は、中年の男女が、浩史と友子の両親ではないか、と気づく。中年の女性は、そんな和枝に気づき、微笑んだ。和枝が小さくうなずくと、男性や房江も和枝に微笑みかけ、やがて姿を消す…。
浩史から昔の写真を見せられた和枝は、あの男女がやはり彼の両親であることを知る。和枝は、浩史や友子が、両親に温かく見守られていることを感じていた。

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