陸上部の合宿で地元の山に行った有紀(寺島)たちは、練習の合間に、麓にある公園の公衆トイレに入った。そのトイレには4つの個室があり、どの扉も開いていた。真っ先に到着した有紀は、4番目の個室に入ろうとするが、落としたティッシュを拾っている間に、ほかの部員たちが次々とトイレに駆け込み、いつの間にか4番目の扉も閉まっていた。怪訝に思って有紀が扉をノックすると、中からノックが返ってきた。有紀は、その扉の前で使っている者が出てくるのを待っていた。
部員たちは交代でトイレに入り、用を済ませていた。が、有紀が並んでいた4番目の個室だけは閉まったままだった。有紀や恵子(崔岡)は、ティッシュを持っていないのでは、と思い、扉に向かって声をかけた。すると、中から元気な返事が…。
別の個室に入った有紀が用を済ませて出てくると、恵子が彼女に声をかけた。恵子は、4番目の個室が気になり、ずっと見ていたのだ。すでに、ほとんどの部員がトイレを済ませていた。有紀たちは、もしかしたらマネージャーかも、と思い、ノックをして先に行くと告げる。すると、やはりノックが返ってきた。が、有紀たちが歩き始めると、目の前にマネージャーのめぐみ(廣川)の姿があった。青ざめる有紀と恵子。振り返ると、いつの間にか、4番目の個室の扉がわずかに開いてた。中には誰もいなかった。
それからしばらくして、有紀たちはある事故の話を知った。いまから10年ほど前、遠足でこの山に来ていた小学5年生の少女が、足を滑らせて転落死するという事故があったというのだ。その女の子の遺体が発見されたのは、公衆トイレの近くだったという…。
幹雄(窪塚)は、雑居ビルの地下にある大きなレストランでアルバイトをしていた。ある夏の夜のこと、幹雄と先輩の三村(石井)は、営業終了後の後片付けに追われていた。そのとき幹雄は、ホールを横切る人影に気づく。幹雄は、三村がトイレに入ろうとしているものと思い込んだが、その影は、何故かドアの前に立ち尽くしていた。さすがにようすがおかしいことに気づき、カウンターの方に目をやると、そこに三村の姿があった。その途端、トイレから水音が…。恐る恐る幹雄がトイレを覗き込むと、そこには誰もいなかったが、洗面所の蛇口から猛烈な勢いで水が出ていた。
その夜、仕事が終わらなかった幹雄と三村は終電に乗り遅れ、店に泊まるはめになってしまう。すると三村は、着替え終わるなり、コンビニに行くといって、ひとりで出て行ってしまう。残された幹雄は、不安な気持ちを隠せなかったが、仕事の疲れから、いつの間にか眠りこけていた。そのとき、どこからか音が聞こえ、やがてそれが轟音に変わった。目を覚ました幹雄は、音が反響してくる場所――天井の換気口から目が話せない。すると、その轟音に混じって、何者かのうめき声が聞こえてきた。やがて、その声は女性のものであることがわかり、うめき声ははっきりとした言葉に変わった。「うう…痛いよう…助けて…」。恐怖のあまり、戸口の方に後ずさる幹雄。そのとき、背後のドアをたたく音がして、突然ドアが開いた。とっさに飛び出した幹雄は、何かにぶつかった。三村だった。
その後、幹雄は、この近辺に地下鉄用に掘られたトンネルが迷路のように張り巡らされていることを知った。が、そこを走る地下鉄の路線は存在しないという…。
病院に入院中の宏美(福田)は、夜中にトイレに起きた際、ハイヒールのような靴音を聞く。が、あたりを見回しても、誰もいなかった。別の日、いつものように夜中にトイレに行った宏美は、何かの気配を感じる。そのとき、またハイヒールの音が聞こえてきた。恐怖に耐えられなくなった宏美は、走って病室に逃げ込む。が、その足音は、宏美の後を追いかけてくるように次第に近づいてきて、宏美の個室の前で止まった。すると、コンコンと扉をノックする音が…。恐怖心を抑えながら、窓の方に後ずさる宏美。と、今度は背後からノックの音が聞こえてきた。宏美が振り返ると、窓の外には白いネグリジェを着た少女(桜井)が俯いて立っていた…。
あくる朝、宏美は、看護婦(森崎)に昨夜の出来事を話したが、やはり信じてはもらえなかった。なぜなら、宏美の病室は3階にあり、窓の外に誰かが立てるような場所はなかったのだ。
それからしばらくして、宏美は個室から4人部屋に移った。すると、宏美と向かい合う場所にあるベッドに、あの少女にそっくりな女の子の姿があった。その少女は、「元気になったら海に行くんだ。このハイヒールを履いて行ってみたいの」と言って、ベッド脇に置いてあった箱を手に取った。その中にはきれいなハイヒールがあった。
その夜、少女の容態が急変し、その夜のうちに亡くなってしまう。亡くなった後、彼女は、あのハイヒールを履かせてもらっていたという。