篤(窪塚)は、友だちの真千子(上野)、亮太(久保山)と車で海に遊びに行った。その帰り道、篤たちはとあるトンネルに差しかかった。運転していた篤は、トンネルの中で男の子の姿を目撃し、車を急停車させた。その男の子は、さきほどもトンネルにいたのだ。しかし、車を降りて確認しても、背後には人の姿はなかった。すると、車道脇には花や玩具などが供えられているではないか。気味が悪くなった篤たちは、慌てて車に乗り込み、急発進させる。
しばらく進むと、前方に白いものが浮かび上がった。それは、体操着を着た小学生の男の子だった。車は、壁際に立っていたその男の子の横を通り過ぎたが、振り返るとその姿は消えていた。一刻も早くこのトンネルを抜けようとスピードを上げる篤。すると、出口付近にまたしてもあの少年の姿が…。篤たちは、パニック状態に陥りながらも、なんとかそのトンネルを抜けだした。
「見間違いだよ」。篤たちは、何事もなかったかのように振る舞った。が、ふとバックミラーを見ると、そこには猛スピードで車を追いかけてくる少年の姿が映っていた。慌てて振り返ると、背後には誰もいなかった。が、ふと前方に視線を戻した瞬間、あの少年が車のすぐ側を走りながら、こちらをジッと見つめており…。
中学三年生の真希(佐津川)は、ひと月後に迫った最後の水泳大会にすべてをかけるつもりで練習に熱中していた。オーバーワークを心配する美雪(谷村)の言葉にも耳を貸さず、その日もスイミングクラブに最後まで残って練習をする真希。練習を終えた真希がロッカールームで着替えていると、背後でロッカーが開く音がする。そちらに目をやると、1台のロッカーの扉が半分開いていた。真希は、そのロッカーに以前から変なウワサがあることは知っていたが、べつに気にも留めなかった。
数日後、スイミングクラブで練習していた真希に、美雪が声をかける。周りが見えなくなっている真希に、注意を促すためだった。実際、真希の周囲では、彼女のことを揶揄するような雰囲気が出来上がっていたのだ。
そのことで傷ついた真希は、嫌なことを忘れようと練習に没頭した。が、練習を止めて、ふと辺りを見回すと、残っていたのは真希ひとりだけだった。
真希がロッカールームで着替えを終えると、また背後のロッカーの扉が開いていた。真希がその扉を閉めて戻ろうとすると、再び扉が開いた。恐る恐る中をのぞく真希。しかし、中には何もなかった。その時、ふいにロッカールームの明かりが落ちた。停電かと真希が天井を見上げたその時、ロッカーの中から白い手が伸びて、真希の手首を掴んだ。思わず飛び退き、床に横転する真希。すると、ロッカーの中から、ずぶ濡れの女の頭が現れる。真希は、出口から逃げようとするが、その扉は開かなかった。女は、水を滴らせながら、真希の方に近づいてきて…。
数分後、ロッカールームで倒れていた真希は、美雪に抱き起こされた。真希は、美雪に抱きつくと、激しく嗚咽した。
それからしばらく後、真希は、このロッカールームで死んだ女の子の話を聞く。その女の子も、毎日練習に打ち込んでいて、帰り際に心臓発作を起こし、翌朝、発見されたのだという。
1995年1月――。カメラマンの英明(吉沢)は、韓国で人気のアーチストを取材するためにソウルに滞在していた。取材を終えた英明は、ホテルに戻るために停車中のタクシーに近づき、韓国語で行き先を告げた。韓国のタクシーは、行き先が運転手の都合に合わないと乗車できないことがあるからだった。すると運転手は、英明を乗せ、片言の日本語で「待っていたよ」と彼に告げる。運転手はさらに続けて、日本で大きな地震がなかったかどうか英明に尋ねた。英明がないと答えると、その運転手は車を走らせたまま後ろを振り向き、日本で大きな地震が起きる、と真剣な表情で言い始めた。英明は、その話の胡散臭さよりも、交通事故の方が心配で気が気でない。が、その運転手は、後ろを向いたままなのに、前方に停車していた車に衝突することもなく、車を操っていた。
ホテルに到着した英明は、運転手と握手をして別れた。その夜、英明は、恋人の朱美(三訳)が真っ暗な部屋で泣いている夢を見る。彼女は、足をケガしているようだった。そしてもうひとり、布団に横になりながら、床に置かれているテレビを見ている友人・倉田(河本)の姿もあった。
それから4日後、英明は信じられないニュースを見る。日本で、大きな地震が起きた、というニュースだった。阪神淡路大震災だった。朱美が実家のある兵庫に帰っていることを思い出した英明は、慌てて電話をかけたが、通じない。その時、英明は、あのタクシー運転手が言っていたのはこのことだったのだ、と悟る。
数時間後、英明はようやく朱美と連絡を取ることに成功する。朱美は、夢で見た通り、足をケガしていたが、幸いにも無事だった。倉田もまったく夢と同じ状況だった。
それ以来、英明は度々予知夢を見るようになり…。
宏美(金子)は、ずっと希望していた会社の女子寮に入寮できることになり、さっそく引っ越しをした。数日後の夜、宏美は、ドアを叩くような物音で目を覚ました。時計の針は深夜の2時過ぎをさしていた。宏美は、不審に思いながらドアを開けるが、そこには誰もいなかった。
あくる日の深夜、宏美は再び物音で目を覚ました。が、ドアの覗き窓から外を見ると、やはり誰もいなかった。すると、今度は、部屋の一角からまた同じ音が聞こえてきた。その音は、部屋の奥の壁から聞こえていた。翌日、宏美は、寮長の金井(ささい)に頼んで、音のしていた壁側の隣室を見せてもらった。が、その部屋の住人は、旅行に出かけていて来週まで帰ってこないのだという。
不気味さを感じながら宏美が食堂で夕食をとっていると、亜矢子(伊東)が近づいてきた。「あなたの住んでる203号室のことなんだけど…」と宏美に話しかける亜矢子。すると、まるでそのことを叱責するかのように、寮長が亜矢子を呼びつけた。宏美は結局、亜矢子の話を聞くことができず、漠然とした不安を感じていた。
それからも宏美は物音に悩まされていた。すでに限界だった。そんなある日、宏美の元に亜矢子がやってきた。亜矢子は、この部屋は、何人もの人が入寮と退寮を繰り返していること、また、そのことに関しては会社から口止めされていることなどを宏美に告げると、彼女にお札を手渡す。
宏美は、そのお札を壁に貼った。すると、その夜は深夜2時になっても物音は聞こえなかった。が、どうしても不安が解消されなかった宏美は、引っ越しを決意。急いで部屋を探すと、荷物の整理を始める。
その部屋で過ごす最後の夜、宏美が眠っていると、突然お札が剥がれ落ちた。目を覚まし、慌ててお札を拾う宏美。すると、壁から長い髪を垂らした女が、畳に爪を突き立てながらはい出てきた。宏美は、悲鳴を上げて気を失い…
大好きな祖母・ソメ(市川)の家に遊びに行ったみちる(美山)は、ソメとある約束をする。それは、ソメが死ぬときはちゃんとみちるに知らせに行く、というものだった。
それから1ヵ月後、そのソメが突然倒れ、病院に運び込まれた。みちるがお見舞いに行くと、ソメは元気なそぶりを見せて、みちるを安心させていた。
数週間後、友達の真子(望月)の家でケーキを作る約束をしていたみちるは、その前にスーパーで買い物をした。が、みちるが自転車に乗ろうとすると、手にしていたスーパーの袋が切れ、中に入っていたジュースのビンが落下して割れた。その切り口は、まるで刃物で切ったかのようだった。それを見て何故か不安を覚えたみちるが家に戻ると、ちょうど母親(曽川)が家を出ようとしているところだった。ソメの容態が急変したのだ。
みちるたちが病院に駆けつけると、すでにソメは息を引き取っていた。実はソメは、末期ガンに冒され余命幾ばくもなかったのだ。
通夜の日、みちるは、ソメにちゃんとお別れが言えなかったことを後悔し、涙を浮かべる。すると、軒先の風鈴がなり、庭先にソメの姿が…。ソメは、みちるに「バイバイ」と言うと小さく手を振った。涙ぐみながら、小さな声で「バイバイ」と答えて、手を振り返すみちる。するとソメの姿がすっと消えて…。