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第1シーズン #09

行きずりの紊乱者
行きずりの紊乱者
  • 脚本:清水達也
  • 演出:星野和成
  • 出演:内山絵理 … 上野樹里
  • 遠野景子 … 大村彩子
  • 男の子 … 清水響
  • 老婆 … 立花訓子

運転免許を取得して以来、毎日のようにドライブを楽しんでいた絵理(上野)は、その日も友人の景子(大村)と車で出かけていた。深夜2時、そろそろ帰宅することにしたふたりは、とある峠に差しかかった。すると、反対車線に自転車に乗った老婆(立花)のような姿が見えた。しかも、その人物は絵理たちに向けて手を振っていた。車を止め、近づいてくるその人物に声をかける絵理。しかし、そこにいたのは、老婆などではなく、小学生くらいの男の子(清水)だった。少年は、事故に遭って入院した父親のところに行くから、駅まで行きたい、と絵理たちに告げた。ふたりは、戸惑いながらもその男の子を乗せて駅へと向かった。
母親はどうしたのか、と絵理が男の子に話しかけると、先に行くよう言われたという。その不気味な雰囲気に、ぞっとする絵理たち。しばらくすると、男の子が突然ふたりに、どこに住んでいるのかと問いかけてきた。「旭川だけど…」
と答える絵理。すると男の子は、父親を見舞うのは後でもいいから、一緒について行きたい、と言い出す。絵理は、逃げ出したい衝動を抑えながら何とか駅にたどり着き、男の子を降ろすと車を急発進させた。
絵理たちが乗った車は、やがてとある交差点で止まった。信号待ちをしている間、景子は、あの男の子は絶対おかしい、とまくし立てた。すると、コンコンと車の窓を叩く音が…。恐る恐る振り返ると、そこにはあの男の子が立っていた…。

幻燈の下で
幻燈の下で
  • 脚本:佐藤太喜
  • 演出:鶴田法男
  • 出演:小林章子 … 山田夏海
  • 小林安江 … 魏涼子
  • 小林慎一 … 井上智之
  • 軍服の男 … 黒川和明

いまから25年前のこと、当時まだ幼かった章子(山田)は、両親とともに古びた一軒家に引っ越した。ある夜、章子は、どこからか人の話し声のような音で目を覚ました。章子は、隣で横になっている母親の安江(魏)や父親の慎一(井上)に目をやるが、ふたりとも熟睡していた。すると、話し声が徐々に小さくなり、今度はカラカラと金属の音が聞こえてきた。寝ている両親を起こそうとしても声が出ない章子。安江の頭上あたりの畳に、影が伸びていた。章子は、布団の中から、その影の主をのぞき見たが…。
そんなことが続くうちに、次第に慣れてきた章子は、母親にもその不思議な現象のことを訴えなくなっていた。ある夜、ふたたびそれはやってきた。電球に照らされたのは、自転車に乗り、軍服ようなものを着た男だ。章子は、布団から体を起こして、男の方に向く形で座り、微笑んだ。そんな章子に向かって、おいでおいでをする男。章子が布団から立ち上がると、その時、安江の悲鳴が響き渡った。章子の体に飛びつく安江。目を覚ました慎一も、目の前の不思議な光景に声が出なかった。それに会うのは、その夜が最後だった。数日後、一家はこの家を引っ越したという…。

真夜中の珍客
真夜中の珍客
  • 脚本:玉城悟
  • 演出:大木綾子
  • 出演:遠藤貴子 … 末永遥
  • 西野武彦 … 山田誠吾
  • 塚越和夫 … 三宅弘城

レンタルビデオショップでアルバイトを始めた貴子(末永)は、ある日、急に来られなくなった夜勤のスタッフの代わりに、夜12時まで勤務時間を延長して働くことになった。店内には、同じアルバイトの西野(山田)がいるだけで、客はいなかった。その時、貴子がいたカウンターの脇を女性客がスーッと横切った。睡魔と闘っていた貴子は、慌ててあいさつした。その女性客は、カウンターから死角になっている棚の方に向かったようだった。しばらくして、西野が「閉店準備をしようか」と貴子に声をかけた。貴子は、先ほど女性客が行った一画を覗いたが、そこには誰もいなかった。そんなある夜、2度目の夜勤をすることになった貴子は、返却されたビデオテープを棚に戻す作業をしていた。が、ケースを落としてしまい、慌てて拾い集める貴子。その時、貴子が頭上に目をやると、そこには棚の上から貴子をのぞき込む男の姿が…。貴子から事情を聞いた西野は、店長の塚越(三宅)に詰め寄った。すると塚越は「こんな夜中にシンとしたところにいたら、見えないものが見えたり、聞こえないものが聞こえたり、何かと気になるもんだよ」などと言い、店内に設置された有線放送のスイッチを入れた。ところが、しばらくするとノイズが激しくなり、「やめろ…」という不気味な男の声が…。3人は凍りついた。
そのビデオショップが入っていたビルの取り壊しが決まったのは、それからしばらくしてからのことだった。

供養の礼
供養の礼
  • 脚本:清水達也
  • 演出:星野和成
  • 出演:青木由香 … 佐藤めぐみ
  • 今峰香織 … 水野はるか

由香(佐藤)は、東京の大学に通うために、友人の香織(水野)と都内のマンションをルームシェアして、新しい生活を始めた。が、由香は、引っ越した直後から金縛りにあうなど、たびたび不可思議な現象に悩まされていた。そんなある夜、またもや金縛りに遭っていた由香は、異様な気配に気づき、恐る恐る目を開けた。すると、足下に女のシルエットが…。由香は、その夜の出来事を香織に話すが、彼女は「またその話?」と真剣に取り合おうともしなかった。別の日、再び金縛りに遭った由香は、女性のうめき声を聞く。助けを求めて、横で寝ている香織の方に目をやると、彼女は目を見開いて部屋の片隅を凝視していた。その視線の先には、青白い女性の姿が…。その女性は、ゆっくりと由香に近づくと、耳元で「水…お願い…水」と繰り返した。
あの女性は水を欲しがっている、と感じた由香と香織は、翌朝から毎日ベランダに水をお供えして手を合わせるようになった。それ以来、あの女性は現れなくなっていた。そんなある夜、テレビの画面が突然ゆがみ、あの女性の姿が映った。「ありがとう…」。女性は、そう由香に告げた。
それから3ヵ月ほど後、眠っていた由香は、息苦しさを感じて目を覚ました。部屋の中には煙が充満していた。「火事よ!」と叫んで、香織を起こそうとする由香。しかし香織は、朦朧としている。必死に呼びかけ、香織を起こそうとする由香だったが、やがて彼女自身も意識を失い…。
由香が目を覚ますと、香織が心配そうな顔でのぞき込んでいた。由香たちは、いつの間にかマンションの外に逃れていたのだ。「あの女の人が、倒れていた私たちの手を引いてここまで…」。香織は、由香にそう告げた…。

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