智(前田)は、短大を卒業して、とある会社に就職した。が、その会社にはなぜか若い社員がいなかった。先輩OLのはるみ(伴)によると、入ってもすぐ辞めてしまうのだという。そんなある日、智は、会社の資料室で資料整理をするよう命じられる。早速そこで仕事を始めた智だったが、誰かに見られているような気配を感じ、なぜか落ち着かない。その日の午後、再び資料室で作業を始めた智は、また嫌な気配を感じる。落としたボールペンを拾おうとしゃがみ込んだ智の背後には、白い作業服の男の足があった。それを見た智は、悲鳴を上げた。
あくる日、はるみは清掃会社から派遣されてきた男にクレームをつけた。ノックもしないで資料室に入って智を驚かせたからだった。しかし、その男の足下を見た智は、あの時見たのはその男性ではないような気がしてならない。
午後、智は、資料室に向かい、今度はカギを閉めて仕事に取りかかった。すると、背後から2本の手が伸びで智の首筋に触れた。大声を上げて、立ち上がる智。しかし、周囲には誰もいなかった。背後を気にしつつ、仕事を再開しようとイスを引いた智は、ふとデスクの下の空間に注意を向けた。するとそこには、明らかに人間のものではない巨大な顔があり…。智は、その日を最後に会社を辞職していた。
事故で足を怪我し、入院した洋一(勝地)は、病室で不気味な気配を感じる。すると、枕元には無表情な子供(大崎)の姿があった。そんなある日、洋一がリハビリをしていると、ふいに子供が洋一のすぐ横を走り抜けた。それは、病室に現れたあの子供だった。その瞬間、洋一の松葉杖が、誰かに蹴られたかのように動き、転んでしまう洋一。これが原因で、洋一は入院の延長を余儀なくされる。
ある夜、洋一の病室に、いつもと違う気配が漂った。今度は、不気味な女(菅原)だった。以来、毎日のように違う気配を感じるようになる洋一。それからしばらくして、根気よくリハビリを続けてきた洋一にようやく退院のメドが立った。ところがその矢先、洋一は、今度は階段から転落してしまう。誰かに突き飛ばされたと証言する洋一。看護士の小栗(久野)は、確かに洋一の服に手形が残っているのを確認するが、階段を見上げてもそこには誰もいなかった。病院側は、洋一の希望をのんで、彼を別の部屋に移した。
その晩から、洋一は不気味な気配を感じなくなっていた。が、以前の病室の前を通ると吐き気や目眩を感じるため、なるべく近づかないように気をつけていた。
そんなある日、レントゲンを撮ることになった洋一は、うっかりあの病室の前を通ってしまう。階段に差しかかると、急に体が重くなった。「やばい…」。洋一がそう思った瞬間、彼は階段から転落してしまう。その時、洋一は、階段の上から自分を見下ろすあの子どもと女性の姿をはっきりと見た。そして、他にも無数の男女がいることも…。
舞(永井)が5歳の時に親戚の家からもらわれてきた犬のムクは、舞にとって遊び相手であり、よき相談相手でもあった。友達の冴野(鶴田)とケンカした舞は、どうすれば仲直りできるか、とムクに相談した。すると、冴野とすぐに仲直りができた。不思議なことにムクに相談した悩みは、必ずといっていいほど解決するのだ。そんな折、学校から戻った舞は、犬小屋にムクがいないことに気づく。冴野と一緒にムクを探す舞。公園にやってきた舞は、「まい…」という不思議な声を聞いた。すると、公園の一角にクラスメートの翼(渡辺)たちが集まっており、そこにぐったりと倒れているムクの姿があった。
その夜、舞は、治療を終えたムクの側から離れようとしなかった。舞の両親、剛史(おかやま)と光(那須)は、深刻そうな表情だった。「明日、遊園地に行こうか?」と舞に声をかける剛史。ムクは安心してぐっすり寝ているだけだから、と言う父の言葉に、舞はようやく笑顔を見せた。剛史は、ムクがもう助からないことを悟り、死ぬところを彼女に見せないために連れ出したのだった。
数日後、舞はムクを見つけてくれた翼たちにお礼を言った。が、翼たちはムクが舞のところの犬とは知らなかったという。そして舞は、彼らが自分のことを「前山」と呼ぶことに気づいた。あの声は、ムクが自分を呼んだものだったのだ。舞は涙が止まらなかった。
それから十数年後、舞(今井)は、夫と3歳になる息子の勇気(古谷)とともに幸せな生活を送っていた。傍らにある写真立てには、ムクの写真が飾られている。舞は、いまでも写真のムクに悩み事を相談していた。なぜなら、そうすれば悩み事は解決するのだから…。