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第1シーズン #6

横断歩道奇譚
横断歩道奇譚
  • 脚本:佐藤太喜
  • 演出:鶴田法男
  • 出演:中村千里 … 綾瀬はるか
  • 前川正吾 … 日向崇
  • 黒い手 … 海田葉月

千里(綾瀬)は、恋人の正吾(日向)から奇妙な話を聞かされる。正吾が、家の近くにある横断歩道を渡ろうとすると、誰もいないのに後ろ髪を引っ張られたり、足を掴まれて転び、車にひかれそうになった、と言うのだ。正吾と一緒にその横断歩道を見に行った千里は、片隅に花が供えられていることに気づくが、それでも彼の話を信じようとはしなかった。
そんなある日、千里は、正吾の家に行くために例の横断歩道を渡ろうとした。すると突然体が重くなり、バランスを崩して転んでしまう千里。動くこともできず、体をよじって振り返ると、道路から生えている右手が、千里の足首を握っていた。「離して…お願い…」。千里は、そう哀願した。そして正面に車のヘッドライトが迫り…。
幸い、千里は命を落とさずに済んだ。しかし、その日以来、千里は決してその横断歩道には近づかないようにしているという。

真夜中の白い指
真夜中の白い指
  • 脚本:田村孝裕
  • 演出:大木綾子
  • 出演:向田亜美 … 宮地真緒
  • 白井玲子 … 上野なつひ
  • 佐藤奈月 … 篠原麻里

バレンタインデーの夜、チョコレートを渡す相手もいない亜美(宮地)と玲子(上野)は、ふたりで夜中まで飲み歩いていた。酔いを醒ますために公園にやってきたふたりは、ベンチに腰掛けた。その時、亜美は、電灯に映し出されたふたりの影が、いつの間にか3つに増えていることに気づく。恐る恐る後ろを振り返る亜美たち。しかし、背後には誰もいない。亜美と玲子は、怖くなって足早にその場を離れた。公園を出たふたりが階段を下りると、向かい側から白い服の女性が歩いてきた。するとその女性は、スーッとふたりに近づいたかと思うと、消えてしまう。その時亜美は、玲子の肩に白い指がかかっていることに気づき…。
あくる日、亜美のもとに玲子から電話が入った。高校時代の親友・奈月(篠原)が死んだのだという。それは、昨日の深夜、亜美たちが不思議な出来事を体験した時刻だった。

邪悪な影の正体は
邪悪な影の正体は
  • 脚本:清水達也
  • 演出:鶴田法男
  • 出演:真砂久美 … 松尾れい子
  • 菅原美穂 … 池津祥子
  • 松井庄平 … 北村修

新人看護士の久美(松尾)にとって一番嫌いなのは、深夜の巡回だった。なぜなら彼女は、幼い頃から度々不思議な経験をしていたからだ。ある夜、先輩の美穂(池津)の指示で深夜巡回に行った久美は、待合室で数人の男女が話し込んでいるのを目撃する。不審に思いながらも、持っていた懐中電灯の明かりを向け、声をかける久美。すると、雑談がピタリと止み、懐中電灯の明かりが消えた。一斉に久美の方に顔を向けるその男女たち。久美は、危険を感じるが、金縛りにあったようにその場を動けない。その時、後ろから美穂がやって来て久美の肩を叩いた。美穂の方に目をやった久美がもう一度振り返ると、なぜか待合室にいた男女の姿は消えていた。
あくる朝、久美は入院患者の松井(北村)に注意するよう指示される。危篤状態で病院に運び込まれた松井は、最近、意識を取り戻したばかりだった。松井が意識を取り戻したことを知った親類たちは、今朝方、彼に遺言書のサインをさせたのだという。久美は、昨夜見た男女は、彼らの欲望が生き霊となって残ったものだと確信していた。

深淵から
深淵から
  • 脚本:小川智子
  • 演出:鶴田法男
  • 出演:高野照美 … 田島有魅香
  • 高野恵美 … 芳賀優里亜
  • 医師 … 大滝寛
  • 老人 … 上原袈裟俊
  • 看護士 … 橋本佳代
  • 母 … 長野京子
  • 高野広幸 … 山路和弘

5年前に母(長野)を亡くした照美(田島)は、近頃、奇妙な夢を繰り返し見ていた。が、母親代わりでもある姉の恵美(芳賀)は、照美の話を聞こうともしなかった。そんなある日、学校から帰宅した恵美は、暗がりに老人のような人影を目撃する。台所に駆け込み、照美を呼ぶ恵美。照美は、茶の間で、制服のままこちらに背を向けて立っていた。すると照美が、「お墓、放ったらかしで汚れてるんだ」と言いだし、食器を投げつけて暴れ出した。恵美は、帰宅した父・広幸(山路)とともに照美を取り押さえ、救急車を呼んで彼女を病院に運び込んだ。
検査を担当した医師(大滝)は、照美に異常は見つからないため、しばらく経過を見る、と広幸と恵美に告げた。が、ほどなく照美は苦しみだし、老人のような声で「よくも…わしを忘れよったな…苦しゅうて成仏できん…明日の朝6時に、この娘を連れて行く」と言い出した。
深夜、病室前のベンチに座って、医師の処置が終わるのを待っていた恵美たちは、不安と恐怖に震えていた。時刻は午前5時を回っていた。その時、恵美は亡き母のハンカチを持っていたことに気づく。その時、影のような女性の姿が、扉をすり抜けて病室の中に吸い込まれていった。その影を追うように、病室に入った恵美と広幸は、苦しんでいる照美に声をかけた。するとそこには、亡き母の姿が…。恵美と広幸は、照美の手を握って祈り続けた。
やがて、朝がやってきた。目を覚ました照美が、不思議そうな顔で恵美や広幸を見て、「何やってるの?」と話しかけてきた。時計の針はすでに午前6時を回っていた。
後日、照美たちは、父方の親戚筋に、途絶えてしまった家があったことを知り、家族で墓参りに出かけた。それは、照美が何度も夢に見た墓だった。

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