低学年から高学年まで、今やほとんどの小学生が、ボランティアについて学びます。
尾畠春夫さん、79歳。
8月には、山口県で行方不明となっていた2歳児を発見しました。
今も、全国各地で休みなくボランティアに励んでいます。
今回は特別にボランティアの『いろは』を教えていただきます。
初めて体験したのは、バイきんぐの西村瑞樹君。
まずは、尾畠さんにご挨拶。
尾畠さんが寝泊まりしているのは、小学校の校庭に停めさせてもらっている愛車です。
車内には、生活とボランティアに必要な物が所狭しと詰まっています。
そして、尾畠さんの7つ道具を見せてもらいました。
広島 呉市でのボランティアは、朝9時からと決められいます。
その前に必ず受付で、緊急連絡先や血液型などを記入します。
10人前後のグループに分かれ、現場へ向かいます。
この日の作業は、民家の庭に積もった土砂を運び出すというもの。
様々な形のスコップを使い分け、掘り進めていきます。
舗装された場所で使うのは、先の平たい、通称 角スコ。
深く掘り進めるには、先の尖った剣スコを使います。
穴の開いたスコップは、水の溜まった狭い溝に使われます。
水を含んだ土砂は重く、かなりの重労働です。
そのため、15分の作業で10分休憩、それが目安として決められています。
7月の豪雨から3ヶ月、未だ残る土砂。
栄養分をほとんど含まないため、植物も育たず…
さらには、汚水から感染症を引き起こす可能性もあります。
植物にも人にも悪影響…速やかに撤去しなければなりません。
初心者の西村君、ある疑問が…
尾畠さんにどこまで掘れば良いのか質問していました。
地面が舗装されている場合は、分かりやすいのですが…
庭全体に積もった土砂、どこまで掘れば良いのか分かりません。
ところが、尾畠さんによると、もともと庭にあった土と土砂を区別する手がかりがあると言います。
ここで問題!
土砂と元の土を区別する手がかり…土砂は、水を含んでいたり、木や石が入っていたりするので、固さや粒の大きさなで判断することはできません。
では、何で判断するのでしょう?
土砂を掘っていくと、黒い土が出てきました。
ここが境目です。
土砂は黄土色、元の土は黒く見えます。
はっきりと分かる手がかりが色です。
もともとあった土には、腐植と呼ばれる物質が含まれています。
腐植とは、微生物が動植物の死がいを分解してできる有機物のことです。
ガーデニングに使う腐葉土などに多く含まれ、植物が育つ栄養になります。
腐植は、黒みがかっているので、含まれる量が多いほど土は黒くなります。
一方土砂は、流されてくる際に腐植が少なくなるため薄い色になります。長い年月をかけ、土地に根付いた証拠が栄養を多く含む黒い色だったのです。
作業の合間、尾畠さんが災害ボランティアに欠かすことのできない『土のう』作りを教えてくれました。
袋に土砂などを詰めた土のう、斜面などの崩れ防止や、水はけの悪い場所の足場として使われます。
尾畠さんは、片手でスコップを操り、簡単に土のう袋に土を入れますが、慣れないと なかなか大変です。
そこで、底が抜けた筒状の道具、その名も『どの太郎』を使うと…
初心者でも土のう作りが簡単にできます。
被災地では食料や道具が不足しがちなため、知恵で補うことが重要です。
尾畠さんが、広島のボランティア経験から思いついた、オリジナルの技を教えてくれました。
畳は水を含むと2倍以上の重さになります。
通常、大人4人でやっと運ぶことができるそうです。
尾畠さんは、7つ道具のうちの2つを使い、2人でも簡単に狭い道でも通れる畳の運び方を編み出したといいます。
ここで問題!
使う道具は、ドライバーとカナヅチです。
さらに、ちょっとしたコツがあります。
ドライバーの先が上を向くように畳に打ち込みます。
そうすると、右手で持った時、グリップが水平になり、抜けにくくなります。
このような状態で持てば、2人で狭い道でも運ぶことができます。