今年の中学入試で、深海についての問題が出題されました。
200mより深い海、深海には私たちの想像をはるかに超える不思議な生き物が生息しています。
実際に入試に出た魚が『デメニギス』。
泳いでいる姿を捉えたのは世界でこれだけという貴重な映像です。モントレーベイ水族館研究所が撮影に成功しました
この魚、頭がゼリー状になっていて、中が丸見え!この緑色の目がずっと上を向いています。
その理由は、横や下は暗すぎて見えないからです。
かすかな光が差し込む上を見て餌を探すため、こんな目に進化したと言われています。
地球の表面の7割を占める海。
その中で光の届く200mより浅い海はわずか5%、実に95%が深海です。
富山湾の春の名物、ホタルイカ。これも深海生物です。
ホタルイカと言えば光ることで有名ですが…
光っているのは、主に胴体の下半分だけ。
これは、光を出す器官が下半分に集中しているからなのです。
まずは例題!
暗い深海ですが、見上げるとかすかに光が届いています。
天敵に狙われると、わずかな光の中で体が影になり、見つかってしまいます。
そこで、ホタルイカは胴体の下半分を光らせて、光の中に身を隠しています。逆に深海は上から見ると暗いので、体の上は光らない方が見つかりにくいのです。
サバやサンマなど、同じようにお腹が白く、背中が黒い魚がたくさんいますが、これも同じ効果があります。魚だけでなく、イルカやペンギンなど海を泳ぐ生き物は、ホタルイカと同じように天敵に見つからないように体の色が分かれていると言われています。
深海社会科見学に行ったのは、お魚大好きあばれる君!中学校の教育免許も持っています。
静岡県 駿河湾は、日本で一番深い湾です。
水深2500mにも達し、深海の生き物を獲る底引き網漁が盛んです。
そこであばれる君には、入試に出た「アンコウ」をぜひ見つけてほしい!
世界中の海で深海生物の捕獲調査を行う、石垣幸二さんが助っ人に来てくださいました。
底引き網漁は、1日に何度も網を引き上げます。
出港から5時間…ようやくアンコウが獲れました!
入試に出題されたのは、チョウチンアンコウのパートナー探しについて。
チョウチンアンコウのメスは体長40cmほど、オスはわずか5cmほどしかありません。
暗い深海でパートナーと巡り会う機会はとても貴重です。そこでオスは、メスに出会うと…メスに噛み付きます!
この後、ある方法でこの出会いを確実なものにします。
ここで問題!
左は子孫を残した後、標本となったチョウチンアンコウの仲間(ビワアンコウ)の写真です。
メスの体のこの部分…オスがメスの体に一体化しています。
オスが噛み付くと、2匹の境目がなくなっていきます。同時にメスは血管を通じて、オスに栄養を与え続けます。
オスの目や内臓は退化していき…やがて精巣だけとなって一体化してしまいます。
そしてメスは、オスからもらった精子で受精、確実に子孫を残します。
有人潜水船「しんかい6500」、日本で最も深くまで潜ることができます。
深海の奥深くまで調べることができます。
海洋研究開発機構の吉梅さんが、あばれる君に渡したものは、潜水艦で使われている窓です。
強い水圧に耐えるため、厚さ13cmのアクリル製です。
「しんかい6500」の中はどうなっているのでしょう?
コックピットは直径2mしかありません。
ここに3人で乗船し、1度の潜航で9時間過ごします。トイレもついていません。
整髪料や化粧品は引火する可能性があるので、厳禁です。
深海の意外な光景を吉梅さんが見せてくれました。
三重県沖、水深1400m…白く見えるのは空き缶です。
特にアルミ缶は分解されにくく、ずっと残り続けるのだそうです。日本近海ならどこでも見られるそうです。
人間が捨てたものが、動物にも影響を与えています。
2015年、コスタリカで救助された、苦しそうに呼吸をするウミガメ。
鼻から出てきたのは、プラスチックのストロー。
プラスチックは、新たな問題を引き起こしています。
細かい5mm以下の粒になったプラスチック…
海の生き物が食べると、内臓を痛めたり、エサを食べなくなって死んでしまうこともあります。
今年8月、ある身近な製品が原因になっていると発表されました。
アメリカでは、年間33億枚も海に流れ出ているという試算がでています。それは私たちも気づかないうちに海に流しているかもしれないもので、日本でもおよそ1500万人が使っているものです。
ここで問題!
調査の結果、使用者のおよそ5分の1がトイレや流しに捨てていたというのです。