撮影に入る前のお互いの印象と、撮影後の印象はいかがでしょうか?
松岡:
田中みな実さんのおススメするグッズは5,6年くらい前からチェックして、みな実さんにお会いする機会があったら、「これ使っています!」とお話しようと思ってました。今回初めてご一緒して感じたのは、 “田中みな実”という美しい陶器の中に、凄く可愛らしい無垢な少女がいるということです。
滝沢さんはバラエティーで少しだけお目にかかったことがあったのですが、今回お話させていただいて、嘘のない、素直な方だと感じました。監督さんの言葉や私たちがアドリブで出したものをまっすぐに受け止めて投げ返してくださるので、お芝居をしていて、とても新鮮で楽しいです。
田中:
プライベートでは3人でご飯を食べに行ったり、凄く仲良くさせていただいています。この間も電車に乗ってランチしに行ったね~。
松岡:
みな実さんがすぐに街の方に気がつかれて、声をかけられていました。
田中:
そうだった(笑)??3人とも帽子やらマスク、メガネをしていて、何だかおかしかったね。松岡さんは沢山の作品に出られていて、「芝居に対してストイックな方なんだろう」とは思っていたけど、プライベートの姿が想像できず。すると、撮影が始まってすぐに、「なんて呼び合いますか?私は茉優ちんって呼ばれたいです!」って満面の笑みで提案をしてくれて、最高に可愛らしい方だと思いました!それに、とにかくあらゆることに気が回る人。「先々にオフショットが足りなくなるだろうから、たくさん写真を撮っておこう」とか、「みな実ちゃん今日、貧血気味?無理しちゃだめだよ」「〇〇ちゃん(スタッフさん)、髪染めた?カワイイ!」「カレンちゃん、その場所でやりづらくない?」とかね。全員が心地良く仕事に取り組める環境づくりをさりげなくしてくれています。あまりにもしっかりしていて、本当に20代?!と毎度疑ってしまうんです。
カレンちゃんは、以前バラエティー番組でご一緒していたんですけど、久々にお会いして、一層魅力的になられていました。お芝居の現場では朝から晩まで一緒にいるのですが、会えば会うほど好きになる。滝沢カレンはクセになる!監督に質問をする時も実にチャーミングで、茉優ちんも言っていましたが、どこまでも嘘がない人だなと感じます。
滝沢:
この現場は本当に温かい人達しか集まっていないんです。私はバラエティーやモデルをやっているので、「“演劇界に来るなんてありえない!”みたいに見られたらどうしよう?」と不安だったのですが、松岡さんにも田中さんにも、初日から深々と挨拶していただき、優しく接してくれました。お芝居のこともたくさん教えてくださって、松岡さんに「酔っ払いシーンを演じる時に、どうやって酔っ払いを表現すればいいんだろう?」と質問したら、「酔っ払いは自分のことを酔っ払いだと思わないから、酔っぱらってないと思って演技すればいいんだよ」と教えてくれて、「そんなこと自分で何時間も考えても一生出てこない!」と凄いなと思いました。そのあとも、演技を一緒に考えてくれたり、一緒に練習をしてくれたりしてくれて、「そんな優しい女優さんいるんだ!」と思って、それをきっかけに女優界の人が皆好きになりました(笑)。
松岡:
思わぬところで貢献してしまいました。(笑)
滝沢:
みな実さんもバラエティーでずっと一緒だったんですけど、当時初めてみな実さんと会った時は、私自身も凄く秘密主義で、壁を作ってしまっていたんです。でも今回お会いした時は、自分の壁が無くなっていて、それはみな実さんが何度も何度も話しかけてくれたからだと思いますし、それがとても心地よくて、今では本当のお姉さんのような感覚です。世間の皆さんが持っているイメージの通り、みな実さんはとても綺麗で可愛いですが、私はそこだけがみな実さんの魅力じゃないと思うぐらい、面白くて、人間力が凄いんです。私は芸能界のみな実さんではなく、人間としてのみな実さんが好きです。
自身の役について心がけているシーンや、三人で演じるシーンで心がけていることは?
松岡:
西条さんは“サボりたい”とか、“だらしがない”のではなくて、定時に帰るために決められた時間内で誰よりも働くキビキビした人だと思います。だけど、趣味のジグソーパズルや美術さんが考えてくれたカエルグッズが好きというサブ設定もあって。西条さんの家の中はパズルとカエルグッズで溢れているのですが、その家でのホッとした姿を私は大切に思っています。皆さんも仕事から帰ったら外では見せない姿があると思うのですが、西条さんの人間味といいますか、仕事の顔と別の顔があることを観察してもらえたら嬉しいと思っています。
クランクインしてから三日間ぐらい、ずっと三人での会話が続くところを撮影していたのですが、そのおかげで合間でたくさんお話しをさせていただいて、三人のお芝居のペースを初日に掴めたことが嬉しかったです。今はお二人が現場にいなくて会えない日が続くと寂しいくらいです。
田中:
吉良ます美は、役としても二人より少しお姉さんで、その分、二人よりは人生経験が豊富で、ある程度の常識も持ち合わせています。コミュニケーション能力に長けており、心理学に精通している。でも、どこか本音が見えない吉良の役どころは自身に通ずるところがありそうです。役の中では三人とも互いのプライベートにそれほど関心がなく、それぞれが好きなこと、もの、人、時間を大切にしています。誰かの恋愛話を酒の肴程度に突っついてはいるけれど、実際それほど気になっているわけでもなく、全員やじるしが自分の関心事に向いている様が実に清々しいんです。いわゆる世間一般でいうところの女子会とはかけ離れた、“ありそうでない女子会”も、見どころのひとつかもしれません。
松岡:
話してくれればもちろん聞くけど、話さないことまで聞かない感じ。お互いに家族構成とか知らないですよね。
田中:
そうだね。でもとても気持ちのいい集いです。
滝沢:
基山は本当にびっくりするぐらいしっかりもので、兄弟たちを自分の仕事で食べさせているのですが、私は基山が一番素直なキャラクターなのかなと思います。“素直”って良い時もあるけど、悪い時もあるじゃないですか。頭に浮かんだものをポンと言葉にしてしまって、台本には書いていないけど、基山の言葉で傷ついた人たちもいるかもしれないと私は思ったんです。あと、基山はこの二人以外と一緒になると話さなくなったりして、壁を作るタイプなんです。そういうところは私もすごくわかるので、基山をより愛せると思いました。
三人のシーンでは、基山は一番年下なので、二人の意見を受け止めている感じがします。二人が私の意見に反対して少しムッとなっても、その言葉をしっかり受け止めることができていて、それもこの二人との関係性だからこそなのかなと思います。
松岡さんはご自身の役のオタク部分についてどのように演じていますか?
松岡:
例えば、(西条の趣味である)ジグソーパズルのシーンで、私は一つのピースがペットボトルの蓋くらいの大きさを想像していたのですが、実際はその四分の一しかなかったんです。そんな小さなピースがつながって完成したら、思わず興奮してしまうと思っていました。でも彼女は、これを何百枚と完成させて来たのだから、興奮するよりも喜びが湧き上がる方が近いのかなと思って演じました。他にも、西条は喜怒哀楽を出すのが苦手なので、怒りはすぐに出てきますが、喜びや楽しみは思いっきりは出ないのかと考えて、感情が沸々と湧き上がるようなイメージで演じています。
田中さん演じる吉良について、本読みの段階では「色っぽ過ぎる」と監督に指摘されたとお聞きしたのですが?
松岡:
田中さんご本人の魅力がありすぎるからですよ!(笑)。みな実さんが誰かと話しているところを見ているとうっかり恋しちゃいそうだな、と感じています。
滝沢:
それなのに話しやすいんですよね。美人なのに話しやすい、だから相談もしたくなる。そんな方だと思います。
松岡:
今、みな実さんが演じている吉良さんは、その色っぽさを完全になくしてしまうのではなく、少しにじみ出てくるように表現されていて、その雰囲気がとても好きです。
滝沢:
「一番女性に見えて、女性でない」とか?
松岡:
それが一番正しいかも!
田中:
それは、吉良が三人の中で最も男性に対する免疫があるうえで男性を寄せ付けないからなのかなと。日頃からイケメンを探したり、好みの異性をみつけては声をかけにいくんだけど、それは恋愛感情がないからこそできること・・・と言いますか。監督には、当初「おばちゃんっぽく」と言われたのですが、(吉良の)35歳という年齢は自身も通ってきた年齢で、おばちゃんとは少し違う気がして…。おばちゃんっぽ過ぎてもリアリティがない、けど人生経験豊富な感じは出したくて、自分なりに落としどころを見つけたつもりなので、ご覧になって頂きたいです!
キャラクターの紹介に書かれている“省エネ3人組”という言葉について、皆さんは共感する部分はありますか?
松岡:
この三人の省エネは、例えるなら“使っていない時は電気を消しましょう”の省エネではなくて、なるべくスムーズにエネルギーを使って、総合的な使用量を下げるというものだと思います。より少ないエネルギーで長く走るというのが目指しているところなのかなと。その感覚は共感できます。
田中:
私は人間関係を削ぎ落として生きている自覚があります。人付き合いは楽しいんです。でも、時に煩わしく、意図せず誰かと傷つけてしまうことや傷つけられることもあって…。もう、そういうのがしんどくなっちゃいました。なので、プライベートは極めてシンプルに。“これからも、ずっとかかわっていたい”と思える人たちと時々会って笑えたら十分なんです。物も多くはない・・・というか、整頓されています。その秩序が乱れないように、一つ手に入れたら、一つ手放すがマイルール。家が整っていることで心の平穏が保たれます。
滝沢:
人間関係で言うと、私は友達が違う友達を連れてきたら一切話さなくなってしまうんです。省エネというより、「この人をどう信頼したらいいのかな?」と思って、その知らない人が最悪なことをするイメージを頭に浮かべてしまうので…(笑)。そういう時、自分は無理をしないで静かにしていようかなと思い、聞くことに徹します。そういうところは基山にも似ているので、共感できますね。