2026.10.08更新
報道・情報
秋田県のイベントに参加し、ほほ笑む二人(左から岡田さん・小室さん)
<10月16日(金)27時00分~28時00分>
よく耳にするようになった性的マイノリティーの人々を指す言葉“LGBTQ+”。全国的にも徐々に当事者への理解が広がり、多様性が重視される社会になりつつある。しかし、多くの人にとっては“当たり前”のことでも、当事者にとってはそうではない。そんな多くの困難があっても自分たちらしさを貫いて生きる一組のカップルがいる。自分の気持ちに正直に生きるということは誰もが“当たり前”にできることではない。“ふたり”の生き方を通して見えてくる“普通”とは。
近年、性的マイノリティーの当事者や支援者からなる団体の活動が活発化している。2024年の同性婚訴訟では同性婚を認めていない規定を“違憲”とする高等裁判所の判決が全国的に相次いだ。金沢市の岡田千央美さん(41)は生まれた時に割り当てられた性別は女性で、自認する性別は男性のトランスジェンダー。一緒に暮らすパートナーの小室礼子さん(41)と二人で飲食店を営んでいる。幼少期から自分の性別に違和感があった岡田さん。店のオープン当初は客からの何気ない言葉に傷つく日々を送っていたが、小室さんの後押しもあり、女性らしい外見を変えることを決意。8年前に胸の摘出手術を受け、現在も定期的に男性ホルモンの注射を打っている。
男性ホルモン注射でひげが生えた岡田さん
二人の関係は双方の家族に認められていて、ともに食事会を開くほど家族ぐるみの付き合いだ。岡田さんの父・良治さんはフランスに留学していた学生時代に自身も女装をしたことがあり、娘のカミングアウトをすんなり受け止めた。しかし、母・和子さんには「自分の育て方が悪かったのか」と苦悩した過去があった。
キャッチボールをする二人(左から小室さん・岡田さん)
SNSをきっかけに出会い、15年以上ともに生きてきた二人は2021年に金沢市が導入したパートナーシップ宣誓制度で第1号のカップルとなった。二人の関係が公に認められたのは初めてだったが、徐々に結婚という“国に認められた関係”との隔たりを感じることに。しかし、日本では同性婚が認められていない。戸籍上では同性同士の二人は国に認められた関係になることができなかった。当事者を取り巻く社会が変化する中、最高裁判所がこれまでにないある司法判断を下す。これを機に二人の人生は大きく動き出すことになる。
「ニュースでよく取り上げられる“声を上げて闘う当事者”ではない二人を取材したのは、当事者が特別な人たちではなく、自分たちの周りにいる“普通の人たち”であることを感じてほしかったからです。保守王国の北陸は全国で最も“LGBTQ+の当事者に寛容ではない”と言われています。そんな地域の当事者は何か困っていることがあるのではないかと当初は考えていましたが、取材を重ねるうちに二人の幸せそうな関係性が見えてきて、マジョリティー側にいる私が抱いていたイメージこそが偏見だったと気付かされました。最高裁が同性婚について統一的な判断を下す見通しとなった今、多くの人に考えてもらいたいのは“自分の家族や周りの人が当事者だったら”ということです。マイノリティーでありながらも、自分たちにとっての普通を貫く二人の生き方が、自分に正直であることが簡単とは言えない時代を生きる私たちに問いかけるものがあるかもしれません」
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