『美しく、はみだす』

2026.10.03更新

報道・情報

第35回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:NST新潟総合テレビ)

創作に励むアニーさん

『美しく、はみだす』

<10月10日(土)27時00分~28時00分>

みんなと違うって、いけないことですか?

車中泊で全国を旅していた画家のアニー・玲奈・オーバマイヤーさんが定住地に選んだのは、四季の移ろいが美しい新潟県弥彦村。築224年の国登録の有形文化財・旧鈴木家住宅に暮らしながら、創作活動に打ち込んだ1年間に密着した。自然とふれあい、さまざまな気付きを得ていく一方で、人種の違いで一線を引かれてきた過去とも向き合った日々。“こうあるべき”という社会の見えない枠を一つ一つ解いていく姿を追った。多様化が進む現代において「自分らしく生きているか」を問いかけるドキュメンタリー。

“こうあるべき”という枠からはみ出ている私は、ラインを引かれてきた

車中泊生活をしていた女性画家が、弥彦村の古民家にやってきた。彼女が暮らすのは、築224年の国登録の有形文化財・旧鈴木家住宅。老朽化が進み、存続の危機に陥る中、そこをアートの拠点にしようというのだ。古民家の利活用というと喫茶店や民泊のイメージが強い中、アーティスト・イン・レジデンスという試みには、これまでにない新しさがあった。一人で住むには広すぎる建物。しかし、アニーさんは臆することなく、自分なりの暮らしを紡いでいく。縁側から見える中庭の景色、夕焼けに染まる空の色。それら全てが創作のヒントになっていった。さらに、車中泊時代にはなかった地域の人との触れ合いは、アニーさんに多くの気付きをもたらしていく。

旧鈴木家住宅の縁側で食事

保育園での絵画制作では、自由な子どもたちの姿を見て“うまく描く”という固定観念が揺らぎ、絵の額を依頼した職人との関わりでは、美しさの基準を巡り意見がすれ違う場面もあった。こうした歩みの中で、アニーさんは自身を縛る“こうあるべき”という観念を一つ一つ解いていく。


弥彦の保育園で園児と一緒に絵を描く

一方で、人種の違いから、心ない言葉をかけられたつらい過去も振り返る。「その人たちの“こうあるべき”という枠からはみ出ている私は、ラインを引かれてきた」と話すアニーさん。知らず知らずのうちに作られていく見えない枠は、時に人を苦しめることがあると訴える。多様化が進む現代においても、性別や国籍、職業によって無意識に線を引き、古くからの価値観に縛られている場面は少なくない。そうした“見えない枠”は果たして必要なのだろうか。過去の経験からか、アニーさんは既存の価値観や表現の枠を軽やかに越えていく。そして、湧き上がる怒りや悲しみは全て筆に乗せ、作品に変えていく。彼女の何にもとらわれない姿は、村にどんな気付きをもたらすのか。その営みを追っていく。

コメント
ディレクター・長谷川珠子(NST新潟総合テレビ 報道部)

「正直最初は、弥彦村の古民家に移住した女性画家がどんな暮らしを送るのか、その営みを追ってみたいというシンプルな思いでした。しかし、取材中にアニーさんがこぼした“ずっと普通になりたかった”という言葉を聞いた時、自分の中で何かが変わった気がしています。底なしに明るい性格で、すぐに地域にも溶け込んでいたアニーさん。しかし、過去に日本人とアメリカ人の両親の間に生まれたことで投げかけられた心ない言葉は、“普通になりたい”という願望に変わっていきました。普通とは何なのだろうか。そもそも普通であることが正しいのだろうか。過去を乗り越え、今を自由に生きるアニーさんを見ていると、余計にそう感じるようになりました。多様性がうたわれる世の中でも、まだまだ社会の見えない枠は存在します。番組では、アニーさんの姿を通して“美しく、はみだす”ことの意味を描き、視聴者に自らの在り方を見つめ直すきっかけを届けられたらと思っています」

【番組概要】

第35回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『美しく、はみだす』 (制作:NST新潟総合テレビ)
≪放送日時≫
10月10日(土)27時00分~28時00分  ※関東ローカル
≪スタッフ≫
プロデューサー:丘山 慶(NST新潟総合テレビ 報道部)
ディレクター・ナレーション:長谷川珠子(NST新潟総合テレビ・アナウンサー)
撮影・編集:中島茂雄(フリーカメラマン)
MA:佐藤誠二(株式会社コム)

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。