『学びと継承の先に~どうなる日本の米づくり~』

2026.10.02更新

報道・情報

第35回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品(制作:さくらんぼテレビ)

指導を受け稲刈りをする学生

『学びと継承の先に~どうなる日本の米づくり~』

<10月9日(金)27時15分~28時15分>

不安定さを増す稲作 若き担い手が目指す道とは?

2024年。スーパーの棚から突然米が消えた。価格は高騰し、政府は備蓄米を放出。当たり前に私たちの食卓に並んできた米を巡り、日本が大きく揺れている。大規模化をはじめ、国が推し進める「効率的な農業」。一方で、受け継がれてきた技術を生かし、手間を惜しまず「自慢の米を作る農業」。どちらも大切な農家のあり方だ。さまざまな稲作の形がある中で、米農家を目指す若者たちは何を思い、行く先を選択するのか。

良食味・生産量確保・集落の維持 さまざまな稲作の形 政府の方針が変わる中 先人の思いの継承は

山形県新庄市の山形農林大学校は、設立から70年余りにわたり、稲作、果樹、酪農など、農業県・山形を支える人材を輩出し続けてきた。2年間の全寮制で、同じ志を持つ仲間と濃密な時間を過ごす。2025年度の稲作経営学科の学生は1、2年生あわせて15人。品質や収量の確保など米作りの基本はもちろん「大規模化」を見据えた経営的な視点、直播栽培、ドローンの活用など先進的な手法についても学びを深めていく。担い手不足に異常気象、災害など、稲作の不安定さが増している。しかし学生たちの声に耳を傾けると「どこにも負けないおいしい米を作る」「もうかる米農家になる」「高温障害に強い米を作る」など、稲作への前向きな声が聞こえてくる。

東京の米店で山形県産米の評価を聞く学生達

2年生の鈴木星名さん。父は山形市で大規模な農業法人を営んでいる。後継ぎとして今後、作付面積を増やしたいと早生品種の栽培を研究する。若い農家が減っている中、父も地域の農業を維持するためのリーダーとしての立場を引き継ぎたい考えだ。一方、1年生の渡辺新太さんの実家は中山町のコメ農家。家族経営で、農業収益が上がらず厳しい経営を強いられてきた。そうした苦労を目の当たりにしてきた渡辺さんが研究するのは、省力的でコストのかからない栽培方法。高齢化が進んでも家族で農業を続けていくためだ。「こだわりの米」を作る祖父は、渡辺さんにその技術を継承するつもりだが、お金と向き合う日々に終わりが見えないことを危惧している。

祖父と種まきをする渡辺新太さん

農政に目を向けると、さまざまな課題が浮き彫りとなってきている。国は農地を集積する大規模化を推し進めてきた。より省コストで効率的な農業を行うことができるのがメリットだが、政府が当初掲げたほどの成果が上がっていないのが現状だ。農業経営に詳しい宮城大学の大泉一貫名誉教授は「“集積”は進んでも、立地を見ると“分散したまま”で効率化は進んでいない」と指摘する。米生産の維持、発展は今後どのような道を歩んでいくのか。今後も私たちの食卓においしいご飯は並び続けていくのか。“令和の米騒動”はさまざまな疑問と課題を私たちに投げかけている。

コメント
ディレクター・髙橋信太郎(さくらんぼテレビ 報道制作局報道部)

「米の値段は高い?それとも安い?今回の騒動をきっかけに“米とは何か”を初めて考えた人も多かったのではないでしょうか。米価が高騰から下落に転じている今、米作りを目指す若者たちは、未来をどのように見据えているのか。それを知りたいと思い、取材を始めました。山形農林大学校の学生達から感じられたのは“味にこだわりたい”、“ビジネスとして成功したい”という希望や野心。それ以上に強くあふれ出ていたのは“地域や家族を守りたい”という思いでした。愛する地元をどうやって未来につなげていくか。米作りを通じてこの山形を支えていきたいという意思表示でもありました。この番組が、一粒の米に詰まった価値に思いをはせながら、食、農業、そして地方について考えるきっかけになれば幸いです」

【番組概要】

第35回FNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品『学びと継承の先に~どうなる日本の米づくり~』(制作:さくらんぼテレビ)
≪放送日時≫
10月9日(金)27時15分~28時15分  ※関東ローカル
≪スタッフ≫
プロデューサー・構成:太田 健(報道制作局)
ディレクター・取材:髙橋信太郎(報道制作局報道部)
ナレーション:安井絵里(青二プロダクション)
撮影:佐々木好亮(佐々木映像企画)・井上晃一(オフィスK)・佐藤俊彦(エスティーエム)
編集:佐々木好亮(佐々木映像企画) 
音効:相田恵美子(サウンドリング)
MA:菱山和良(アートプラザ)
CG:佐藤哲哉(フリー)

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。