2026.09.28更新
報道・情報
編集部の岩井雄次さんと干潟
<10月5日(月) 25時45分~26時45分>
鹿児島市の出版社が全国から注目を集めている。スタッフの8割が心の病を抱えながら、雑誌の企画・制作・販売まで全てを担う世界でも珍しい出版社だ。編集部の岩井雄次(55)は、コラムを書けず悩んでいた。夢の研究者となった24歳の時、統合失調症を発症。精神疾患によって夢が絶たれ、定職につけないまま20年、ラグーナ出版にたどり着いた。時折、心のバランスを崩しながらも「誰かの役に立ちたい」と前を向く。
日本の精神疾患の患者は約600万人、20人に1人が心の病を抱えている。揺れる時代、鹿児島市に全国から注目を集める出版社があった。ラグーナ出版。スタッフの8割が、心の病を抱えながら働き、本の企画、制作、販売まで全て精神疾患の患者が担う、世界でも珍しい出版社だ。
取り扱う本は精神疾患に関するものばかり。中でも多くの人の心をつかんで離さないのが『シナプスの笑い』という雑誌だ。2006年に創刊、年に3回発行、これまで約2万部を売り上げてきた。内容のメインを占めているのは、全国の精神疾患を抱えた人たちから寄せられた投稿作品。精神疾患の発症によって社会からこぼれ落ち、傷ついた過去や切なる思いがつづられている。
心の病を抱えた人が思いをつづる雑誌『シナプスの笑い』
ラグーナ出版 編集会議
(中央)川畑善博社長
編集部で『シナプスの笑い』を担当する岩井雄次(55)は、コラムを書けずに悩んでいた。夢の研究者となった24歳の時、統合失調症を発症。精神疾患によって夢が絶たれ、定職につけないまま20年、ラグーナ出版にたどり着いた。入社して9年、心のバランスを崩しながらも“精神疾患になった自分”についてコラムにまとめようとしていた。
編集部で『シナプスの笑い』を作る
そんな時、全ての精神科病院を閉鎖した精神医療の先進国イタリアから専門家たちがやってきた。「日本も変われる。自分たちがやっていることを信じてください」。岩井は“誰かの役に立ちたい”とコラムを書き始めた。
「番組制作を始めるきっかけとなったのは、私の叔父が鬱(うつ)になり、会社を辞めたことでした。その頃、鹿児島テレビの後輩も、一人また一人と、心の病を理由に退職していました。地域医療計画に盛り込むべき4大疾病に、精神疾患が加わった2011年から15年。調べてみると日本で精神疾患を抱えた人は600万人に上り、25年間で3倍に増えていました。生涯を通じて“5人に1人がかかる”と言われる、とても身近な病気にも関わらず、その病状は周囲から理解されにくく、日本では“社会復帰が難しい病気”とされています。しかし、世界に目を向けると、全ての精神科病院を閉鎖したイタリアをはじめ、病床数は減少傾向にあり、地域の中で治療を行う地域精神医療が浸透しつつあるのです。精神疾患を抱えた人たちが、本の企画から販売まで全てを担う、世界でも珍しい鹿児島の出版社を通して、日本の精神医療や寛容な社会のありさまを考えたいと思い制作しました」
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