2026.09.26更新
報道・情報
活躍する外国人ドライバー(シャキールさん)
<10月3日(土) 26時15分~27時15分>
在留外国人が過去最多の12万5千人を超えた福岡県。ビザ厳格化で内定を取り消されながらも夢を諦めない青年、大規模マンション建設計画に揺れ署名活動に奔走する女性市民、そして17カ国のドライバーが笑顔で支えるタクシー会社。制度のはざまに立つ外国人の現実と、急激な変化に揺れる地域コミュニティーの分断を見つめながら「共生」の意味を根底から問い直すドキュメンタリー。
アジアへの玄関口として存在感を増す福岡県。県内に暮らす外国人は過去最多の12万5千人を超え、今や地域の暮らしと産業を根底から支える、不可欠な存在となっている。しかしその一方で、急速な受け入れ拡大に対する不安や反発の声もまた、各地で確実に広がりつつある。ルールの変更に翻弄(ほんろう)され続ける在留外国人たちの現実と、受け入れに異を唱える人々の切実な訴え。国の制度改定、そして地方コミュニティーに走った静かな亀裂。本作は、その双方に真摯(しんし)に向き合うことで、今この瞬間の日本社会の「現在地」を、静かに、しかし鋭く問い直す。
福岡でレストラン開業を目指すヤニックさん
カメラが追うのは、福岡でデンマーク料理店を開くという夢を胸に抱くヤニック氏だ。しかし、政府による「ビザ厳格化」の波は彼を直撃する。外食分野における在留資格の新規受け入れが突然停止されたことで、内定は取り消された。「安心できない。ずっと不安だ」と語りながらも、夢を手放すことなく逆境に立ち向かい続ける彼の姿は、この国の入国管理政策のあり方そのものへの静かな問いかけとなる。
朝倉市外国人マンション反対デモ
舞台は、人口わずか千人足らずの朝倉市柿原地区。「住民の8割以上が外国人」となる大規模マンションの建設計画が持ち上がり、SNS上に飛び交うデマも相まって、県・市への抗議は瞬く間に殺到した。「排外主義ではない。ただ、急激な変化によって地域が壊れていくのが怖い」・・・そう葛藤しながら署名活動に奔走した一人の女性市民。彼女が抱いた未知への「漠然とした恐怖」と、運動の肥大化とともに反対派の内側にまで生じた新たな分断。その行き着く先を、本作は静かに見届ける。
しかし番組は、もう一つの確かな日常をも映し出す。社員の半数近くが外国人という福岡市内のタクシー会社では、17カ国から集まったドライバーたちが売り上げ上位を占め、驚異の稼働率で会社全体を力強く支えている。言葉の壁、文化の違い、時に理不尽な乗客との摩擦・・・それでもなお、事務所には絶えず笑顔があふれている。「区別なんてない。わからなければ聞けばいい。みんな教えてくれる」。そう語る世話焼きの営業本部長の言葉の中に"共生"という言葉の本来の意味を問い直す、大きな手がかりが静かに息づいている。
「参院選で外国人政策が争点となったとき、私は一種の恐怖を覚えました。大学4年間を外国人と共に暮らした経験を持つ私には、大切な友人を傷つけられるような痛みがありました。“共に生きる”とは何か?それが取材の原点でした。取材を重ねるなかで、約束をほごにされ冷ややかな言葉が口をつきそうになる自分にも気づきました。署名活動に奔走した女性は“排外主義ではない、ただ急激な変化が怖い”と葛藤していました。彼女の漠然とした不安こそ、今の日本社会の“現在地”ではないでしょうか。一方で、社員の半数が外国人というタクシー会社には、摩擦を乗り越えながら続く当たり前の日常が確かに存在していました。まずは"知ること"から始めればいいと思います。自らの不安を抱きしめながら、すぐ傍らに暮らす12万の"隣人"へ、ほんの少し目を向けるきっかけに、本作がそうなれれば幸いです」
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