2026.09.11更新
報道・情報
ひと皿ひと皿に思いを込める平山さん
<9月11日(金) 27時15分~28時15分>
料理人・平山真吾は、自身の料理を見つめ直し、皿の背景にある自然と向き合い続けるようになった。しかし福島では、放射能での規制によって、野生動物は食材として活用することができなかった。育てることと奪うこと、その両方に向き合いながら、平山は「命をどう皿へつなぐのか」を問い続ける。「食べることとは?」平山の皿が語りかけてくる。
ひと皿は、「厨房だけで完結しているものなのか?」料理人・平山は自身の料理に疑問を投げかける。
福島県・郡山市で店を営む平山は、新たな料理を模索するため、厨房を離れ、山へと分け入る。そこには山菜やキノコ、野生動物など自然の恵みがあり、料理の出発点ともいえる風景が広がっている。平山は四季折々の食材との出会いを通じ「命の循環」を実感し、それを皿で表現していくようになる。
処分場に運ばれたイノシシ
猟銃を構える平山さん
しかし一方で、福島の「命の循環」はゆがんでいた。原発事故以降、野生動物には厳しい規制がかかり、食用として流通できる環境がなかった。本来なら皿へとつながるはずだった命の多くが、“食材”になる前に途切れていく現実。その事実は、料理人だけでなく、駆除に関わる猟師や農家の現場にも重くのしかかっている。「やりたくない」という葛藤と、それでも続けなければならない責任。そのはざまで揺れる声が、この土地には確かに存在している。平山は料理人として福島の「ゆがんだ命の循環」に目を背けられず、もう一度、ひと皿と向き合い始める。山で生まれた命も、制度の中で選別された命も、その境界を引き受けながら皿へと変えていく。完成したひと皿は、希望でもあると同時に、この土地の残酷な現実を突きつけるものでもあった。
積雪の山中で狩りをする平山さん
本作では福島の土地で起きている現実に焦点を当てているが、“食べる”という行為は、場所を問わず私たちが毎日行っているもの。野生動物であっても、農作物であっても、家畜であっても、その一口の先には、私たちの知らない時間や現場、そして選択の積み重ねがあるかもしれない。この番組が、当たり前のように口にしている“食べる”という行為を、ほんの少しだけでも見つめ直すきっかけになればと思う。
「取材のきっかけは、平山さんの店で食事をしたことでした。一口食べた瞬間、目の前の料理が山や季節、そこで生きる時間とつながっているように感じ、当たり前のように行っていた“食べる”という日常の行為を、自分がどれほど無自覚に受け取っていたのかを考えさせられました。福島のメディアでは、震災や原発事故に関わる題材を日々伝え続けています。風化させないために伝え続ける必要性を感じる一方で、同じ構図や言葉を繰り返すことへの違和感や、どこか既視感のある取材に対するジレンマも抱えてきました。そうした積み重ねの中で、これまで自分が向き合ってきたものは、本当に深く理解したものだったのか、それとも“知っているつもり”でとどまっていたのではないかという思いが生まれました。原発事故に関連する制度や数値についても理解してきたつもりでしたが、その先にある現実まで映し出せているのか?自分自身に問い直しながら取材を重ねました」
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