2026.06.27更新
報道・情報
狩猟期間中、罠にかかったイノシシを撃つ竹内作左エ門さん
<7月4日(土) 26時30分~27時30分>
全国的にクマの出没が過去最多を記録し、人身被害も相次いでいる。福井県内でも昨年、クマが市街地に出没し、緊急銃猟が3回実施された。里に出没したクマを猟友会が当たり前のように駆除していくという日々のニュース。ただ、報道されるのは駆除された頭数や、発砲数、そしてけがの有無。猟師たちの思いが語られることはない。猟師は、クマの出没増加をどう見ているのか。銃弾に込められた矛盾や生き方を追い、ニュース報道を見つめる。
福井県内でクマの出没が最も多い勝山市では昨年、市街地にクマが出没し、緊急銃猟が3回行われた。最初に実施されたのは、白昼のこども園。親子のクマ2頭が出没し、地元猟友会のメンバーが合計12発、弾を打ち駆除した。この時使用した弾数が多すぎるのではと猟師を非難する声があった。その時、何があったのか。
猟仲間との巻狩りで、途中退散する上弥吉さん
真相を探ろうと、緊急銃猟で指揮をとった猟師・上弥吉(76歳)を訪ねた。当時の状況を聞き、弾数では計れない強い覚悟を知ることとなった。一方、坂井市丸岡町竹田地区には、名人と呼ばれる猟師・竹内作左エ門(78歳)がいる。竹田地区では、地区を取り囲むように箱罠を設置している。ただ、エサとなる米ぬかを使うと、クマもやってくるという。本来、野生動物を近づけないための箱罠が、クマを引き寄せる要因となっているのではと葛藤を抱えながら作業を続けている。
急増するクマの人身被害に対応しようと国は2年前、クマを保護の対象から管理へと、方針を転換し、捕獲の強化に乗り出している。さらに昨年、緊急銃猟制度が整備され、猟友会の出動回数も増加。猟師の負担は増すばかりだ。
春のクマ猟でクマを探す上弥吉さん
長らく山で命と向き合ってきた猟師は、クマ出没増加をどう見ているのか。昨年11月から3月にかけての狩猟期間中、2人のベテラン猟師に同行し、猟の日常にカメラを向けた。結局、半年間におよぶ取材の中で、猟師に同行して山に入っても、クマに遭遇することはなかった。日々のニュースでは、駆除された頭数や発砲数、そしてけがの程度が伝えられる。猟師がどんな思いで駆除しているのか語られることはない。
猟師が弾に込めている矛盾や秘められた覚悟を追い、ニュース報道を見つめる。
「山歩きが趣味という理由で取材に抜てきされ、初冬から初夏にかけてクマ撃ちの猟師に密着することになりました。ところがそこは、普段山歩きをしている登山道とは別世界。猟師が通るのは、藪や獣道で、人が通る道とは縁遠い道でした。しかも、どこに罠が仕込まれているかもわからない獣道。厳しい猟師の世界を肌で感じながらの取材となりました。11月から3月の狩猟期間中に加えて、春のクマ猟にも同行して山に入ったものの、半年間に及ぶ取材の中で、クマに出会うことは叶いませんでした。猟師にとっては山の恵みとなるクマも、里に下りれば脅威となります。里に出没したクマを当たり前のように猟友会の猟師が駆除しているように感じていましたが、猟師たちは、いつでも撃ちたいわけでなく、さまざまな葛藤を抱えながら猟銃に弾を込めている姿を見ました。猟友会に所属する猟師が減る中、私たちは老猟師の背中に甘えてばかりはいられません」
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