2026.06.26更新
報道・情報
みしまや四代目 江森慎
<7月3日(金) 26時00分~27時00分>
静岡県裾野市の老舗酒店「みしまや」の四代目店主、江森慎。父の入院をきっかけに故郷に戻った「あとつぎ」だ。かつて曽祖父が地元産の芋で焼酎を造っていたことを知り、自らも焼酎造りにこぎ出す。父と衝突する日々のなかで支えとなったのは、帰郷後に出会った地域の人たちだった。酒や業界のことを何も分からないところから歩んだこの10年。酒店の後継ぎとして、地域とどのように関わっていくのか。思い描く未来とは。
静岡県裾野市で100年続く老舗酒店「みしまや」の四代目店主、江森慎43歳。誠実で真面目な性格である。三代目である父の入院をきっかけに、浜松市で10年間勤めた会社を退職。歴史と伝統ある家業を途絶えさせてはならないと一念発起して故郷に戻った「あとつぎ」だ。
私が興味を持ったのは、裾野市で配布されている広報誌を読んだことがきっかけだった。そこには、江森さんが地元裾野産の原材料を使って芋焼酎を造ったことなどが記されていた。コンビニやドラッグストアなどで気軽に安い酒が購入できるようになり、全国的に町の酒店が減少しているなかで、家業を継ぐために10年勤めた会社を辞めたと聞いた時、なぜ安定した生活を投げ出してまで継ごうと思ったのか、その決断の背景には何があったのかと疑問が湧いた。
先代の、父 喜美男
店を継いだ当初思い描いていた理想は、これまで店を切り盛りしてきた父や叔父、叔母には受け入れられず、衝突することも多く悩む日々を過ごしてきたという。
日々酒の勉強を重ねるにつれて、豊かな自然と水源に恵まれた地元の魅力に気付き、なぜ地酒を造っていないのかと疑問を抱くようになる。そんなとき、仏壇から曽祖父の巻物を見つけ、かつて曽祖父が地元産の芋で「萬年雪」という芋焼酎を造っていたことを知る。“焼酎を造りたい”という思いは、一層強くなった。
地域の人たちとともに
そんな彼の支えとなったのが、帰郷後に出会った地域の人たちである。裾野市役所の職員でNPO法人の事務局を務める宮坂里司。芋焼酎に欠かせない芋を提供してくれている。藤枝市で長年続く酒蔵「杉井酒造」の若き七代目、杉井健太郎。慎と同じ「あとつぎ」であり、酒造りにおいて全幅の信頼を置いている。そして妻・智美。陰ながら彼を支えている。
酒のこと、業界のこと、何も分からないところから歩んだ10年。今になって少しずつ父の偉大さがわかるようになったと振り返る。酒店の「あとつぎ」として地域とどのように歩んでいくのか。ひたむきに前に進み続ける主人公の姿を追った。
「主人公の江森さんは、突出した境遇や派手さを持ち合わせているわけではありませんが、多くの人に囲まれて、支えられて、不器用ながらも今を精一杯生きています。真面目に誠実に日々の仕事に取り組むこと、出会った人たちとの縁を大切にする姿が人を勇気づけ、引きつけるのだと取材を通して感じました。番組では、江森さんが家業を継いだ当初から今に至るまでの過程、目指す未来を描きました。先代の父や家族との衝突、支えてくれる人達の存在、そして歴史ある町の酒店として生き残っていくために変わり続けなければいけないことと、変えてはいけない大切なものを、江森さんは教えてくれました。手を差し伸べてくれた人たちへの感謝を胸に、ひたむきに進み続ける主人公の姿を通じて、便利な世の中で忘れてしまいそうになる人とのつながりの大切さや地域との関わり、そして伝統や歴史を紡いでいくことの意味を感じていただけるとうれしいです」
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