『第37回フジテレビヤングシナリオ大賞』

2026.01.05更新

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第37回フジテレビヤングシナリオ大賞決定!大賞・河内大輝さん『もうええわ』佳作には多彩な魅力が光る4作品を選出

左から)小野朝子、金子 力、河内大輝、平木理裟、北山竜一

『第37回フジテレビヤングシナリオ大賞』

フジテレビにてドラマ化が決定!

◆第37回フジテレビヤングシナリオ大賞の受賞者が決定!

坂元裕二、野島伸司、野木亜紀子、そして近年では木曜劇場『silent』(2022年/フジテレビ系)の大ヒットも記憶に新しい生方美久など、これまで数々の人気脚本家を輩出してきた「フジテレビヤングシナリオ大賞」。この度、第37回の受賞者が決定し授賞式が行われた。授賞式では、フジテレビ代表取締役社長・清水賢治より、大賞受賞者の河内大輝(かわうち だいき)さん、佳作受賞者の北山竜一(きたやま りょういち)さん、平木理裟(ひらき りさ)さん、金子 力(かねこ りき)さん、小野朝子(おの あさこ)さんに賞状が授与された。

◆宋ハナ審査委員長「全体的にレベルの高い作品が多くそろった」

2025年4月期の木曜劇場『波うららかに、めおと日和』などを手掛けてきた宋プロデューサーは「全体的にレベルの高い作品が多くそろった年でした。派手な出来事や事件に迫ることなく、登場人物の心情を丁寧に描いていて、読む人を最後まで惹きつける魅力がある作品を選びました」と、今回のヤングシナリオ大賞を総括。続けて、「共通しているのはみなさん、自分の居場所や理解されにくさ、相手との距離感など、現代に通じる題材を、個性を出して描いていたこと。人の心情に丁寧に向き合う姿勢が強く感じられたので高く評価しました」と選評した。

◆大賞は河内大輝さんの『もうええわ』

今回、1,477作品(前回1,585作品)の中から大賞に選ばれたのは河内大輝さんの『もうええわ』。
『もうええわ』は、吃音を持つ高校生・谷本凌(18)と、芸人を目指す同級生・松岡颯斗(18)が漫才コンビを組み、全国学生お笑い大会優勝、そしてデビューという夢に向かって歩んでいく青春ドラマである。「その喋り方が絶対に武器になる」という松岡の言葉をきっかけに始まった2人の挑戦は、やがて順調に進む一方で、互いを思いやるがゆえの葛藤やすれ違いを生み出していく。自分が相方の足かせになっているのではないかと悩む谷本と、そんな谷本を気遣う松岡。衝突を重ねながらも、2人は再び夢へと向き合い、やがて10年後、それぞれの夢を叶えた姿へとたどり着く。

コンテスト本番と回想を滑らかに往復する構成により、読む者が迷うことなく2人の関係性の積み重ねを理解できる設計力が際立っている点が高く評価された。また、会話のテンポや「間」の扱いが非常に精巧で、キャラクターの質感がセリフそのものから鮮やかに立ち上がってくる点も秀逸。
青春ドラマとしての普遍的な魅力に、現代的な題材やお笑い表現を巧みに融合させ、構成・キャラクター描写・テーマ性のいずれにおいても突出した完成度を誇る作品として、大賞にふさわしい評価を受けた。

大賞 河内大輝(かわうち・だいき)

◆佳作にも多彩な魅力を放つ4作品が選ばれる!

また、佳作には4作品、北山竜一さんの『燃え尽きても』、平木理裟さんの『海になりたい』、金子力さんの『青と花』、小野朝子さんの『その時は思い出して』が選ばれた。

『燃え尽きても』は、元プロボクサーの末永竜平(35)が、引退後の虚無感と向き合いながら、再びリングに立つ決意を描いた再生の物語だ。スポーツ描写と心理描写のバランスが非常に優れており、過度な専門性に偏ることなく、確かな説得力と臨場感を生み出している。静と動の緩急を巧みに配置した構成と、登場人物一人ひとりの確かな描写が、作品全体に奥行きを与え、大きな可能性を感じさせる一作である。

『海になりたい』は、小説家・北原冬子(36)が18年ぶりに故郷へ戻り、幼馴染との再会を通して自分自身と向き合う物語。象徴性と物語性がほどよく均衡し、情景描写と心情の変化が自然に重なり合う構成が秀逸だ。言葉を削ぎ落とした繊細な心理描写によって、登場人物の感情が静かに、しかし確かに伝わってくる、余韻の残る作品となっている。

『青と花』は、年齢も立場も異なる2人が出会い、少しずつ心の距離を縮めていく過程を丁寧に描いた作品だ。短い会話や沈黙、何気ない仕草の積み重ねによって人物の内面を浮かび上がらせる筆致が印象的で、過剰なドラマ性に頼らず、日常の中の小さな揺らぎをすくい取る感性が光る脚本として高く評価された。

『その時は思い出して』は、教育実習生と生徒、そして教師との関係を軸に、見えにくい“生きづらさ”と向き合う姿を描いた社会性の高い物語である。感情を過度に煽ることなく、人物一人ひとりに丁寧に寄り添いながら物語を積み重ねていく構成が、深い説得力と余韻を生み出している。読む者の関心を最後まで途切れさせない力を備えた脚本として、強い印象を残した。

左から)小野朝子、金子 力、清水賢治、河内大輝、平木理裟、北山竜一

【受賞者コメント】※敬称略

大賞:河内大輝(かわうち だいき)
「美大などではなく、普通の大学からスタートして代理店に入った自分が、まさかここに立てるとは思っていませんでした。映像の仕事は、どれだけ突き詰めても“これが正解”という答えがなく、ずっと悩み続けられるところが魅力だと思います。その場所に居続けられるよう、これからも考え続け、書き続けていきたいです」

佳作:北山竜一(きたやま りょういち)
「実は今日が誕生日で、忘れられない一日になりました。この受賞に甘えることなく、人としても脚本家としても成長し、いつかドラマアカデミー賞を目指せるよう努力していきたいです。ご指導いただいた金巻兼一先生、国井桂先生の名に恥じぬよう、観た人の心が熱くなる作品を書いていきたいと思います」

佳作:平木理裟(ひらき りさ)
「脚本を書き始めて約10年、ようやくスタートラインに立てたと感じています。これからはスキルや経験を積み重ねながら、自分が“面白い”と信じられるものに誠実でいられる脚本家でありたいと思います」

佳作:金子 力(かねこ りき)
「見てくれた人が、優しい気持ちになれるようなドラマを作りたいです。そのためには、まず作品として面白くなければいけないと思っているので、これからも勉強を重ねながら、書き続けていきたいです」

佳作:小野朝子(おの あさこ)
「“どんな脚本家になりたいか”という目標をあらかじめ決めるよりも、その時々で自分が伝えたい人や思いにしっかり向き合い、集中して書き続けていきたいと思っています。一つ一つの作品に誠実でありたいです」

【大賞概要】

第37回フジテレビヤングシナリオ大賞
1987年に創設された、テレビドラマで活躍する若手脚本家を募集・育成するためのシナリオ公募。ドラマ・映画制作の現場に携わるフジテレビ関係者メンバーで厳正に審査される。受賞作品は特典としてフジテレビにてドラマ化されるため、作品を選んで終わりではなく、一緒にドラマを作っていくことにより、即戦力となる脚本家として活躍する人材を育成することを目的としている。大賞には賞金300万円、佳作には賞金各50万円が贈呈される。将来性のある脚本家を発掘・育成する若手脚本家の登竜門と言われ、2020年、一般社団法人「放送人の会」が主催する「放送人グランプリ2020」を受賞した。
主な受賞者
坂元裕二(第1回大賞・『東京ラブストーリー』『最高の離婚』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』他)
野島伸司(第2回大賞・『愛という名のもとに』『101回目のプロポーズ』『ひとつ屋根の下』他)
橋部敦子(第6回佳作・『僕の生きる道』『フリーター、家を買う』『知ってるワイフ』他)
浅野妙子(第7回佳作・『大奥』『ラスト・フレンズ』他)
安達奈緒子(第15回大賞・『コード・ブルー 3rd season』『透明なゆりかご』他)
黒岩 勉(第20回佳作・『謎解きはディナーのあとで』『僕のヤバイ妻』『アンサング・シンデレラ』他) 野木亜紀子(第22回大賞・『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラル』他)
生方美久(第33回大賞・『silent』『いちばんすきな花』他)
次回、第38回は2025年12月中旬より募集を開始している。詳しい応募要項や今回の受賞作品などはオフィシャルサイトで紹介される。

掲載情報は発行時のものです。放送日時や出演者等変更になる場合がありますので当日の番組表でご確認ください。